我那覇アキラ

個人作家として活動中。 |漫画:担当付きの経験あり。期待賞2回 |小説:カクヨムBWコ…

我那覇アキラ

個人作家として活動中。 |漫画:担当付きの経験あり。期待賞2回 |小説:カクヨムBWコンテスト佳作 |イラストレーター。出版社の小説表紙担当経験あり |Kindle出版にて小説の書き方の本、3冊ベストセラー達成

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「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第47話-最終話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

エピローグ  今日もシュガーより早く、タロウが出勤してきた。  そしてレイナックはいつもどおり、人生をささげるという彼の言葉にちょっと困惑する。 「やっぱり、タロウさんの人生は自分のために使わなきゃダメですよ」  そう言うとタロウも、なぜか困ったような顔をするのだった。  そのあと、彼は決まって色んな仕掛けで笑わせようとしてくれる。 「姫、あれをご覧ください」  このセリフが合図だ。  レイナックはタロウが指さした窓の外へと目を向ける。  ちょうどシュガーがこの小

    • 「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第46話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

      第46話 チョロい魔王  ドランは魔王の間へ向かっていた。  勇者パーティーやカゼマルたちを焚きつけて、タロウ暗殺を企てた疑いが向けられている。  その追及のために呼びつけられたのだ。  もっとも、呼びつけたのはタロウ本人ではなく、その側近のヴァディーゲである。  タロウの犬めが!  ドランは苛立つ感情をぶつけるように、廊下の壁を叩いた。  それにしても入念に根回しをして色々とお膳立てしたというのに、まさかタロウを討ち漏らす結果になるとは。  しかも、カゼマルまでも

      • 「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第45話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

        第45話 野望 「え?」 「だから……サブロウ。俺の名前」 「ありがとうございます! 私はレイナックです」 「知っている」  とりあえず、喜んでくれてよかった。 「おーい、タロウくーん!」  突然、俺の名を叫ぶ女の声がした。  げ!  シャインだ。  しかも最悪のタイミングで俺の名を! 「タロウ……君?」  やばい、ごまかさないと!  俺はフードをさらに深くかぶり、顔を隠してからレイナックのほうを振り返った。 「い、いや! 違う違う。今、あの女はサブロウって言っ

        • 「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第44話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第44話 姫との約束  カゼマルとその部下たちが撤退したあと、俺は台の上で横たわるレイナックが目覚めるのを待った。  眠ったままの彼女を放置するのが心配なだけで、特に何かしらを伝えるつもりも話をするつもりもない。  無事に目が覚めるのを確認したら、黙って退散するつもりだ。  城へ送り届けるのは、勇者ファルコとシャインに任せよう。  それにしても、とても穏やかな顔で眠っている様子だ。  ヤツの言うとおり、魔法の効果が切れているようだな。  俺はホッと胸をなでおろした。

        「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第47話-最終話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

        • 「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第46話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

        • 「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第45話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

        • 「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第44話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第43話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          あ第43話 姫が持つ真の能力 「ぐおぉ!」  思った以上に気持ちいい感触が、右こぶしに残っている。  怒っているはずなのに、殴る快感を覚えるとは。これも魔王の血のようだな。 「術を解くにはおまえの魔力を絶つこと、だったな。じゃあ、おまえをぶっ殺せばいいわけだ」  吹っ飛んでいったクソヤロウに向かって、言葉を投げつける。  壁に激突したクソヤロウが、膝をガクガクさせながら立ち上がってきた。 「やってくれるじゃねえか。決めたぜ。今度こそ立ち上がれないようにおまえをボコボ

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第43話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第42話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第42話 悲しい欲情  俺の服にしがみついて立っているレイナックを支えようと、肩に腕を回す。  その瞬間、レイナックの体がビクッと痙攣し、甘い喘ぎ声が口から洩れた。  カゼマルの色欲魔法が、まだ解けていないのか。  彼女がうつむかせていた顔を上げ、再び俺に熱い視線を送ってくる。  俺はうかつにも、ドキリとしてしまった。  こんな大人びたレイナックの表情、見たことがない。  胸がドキドキして抱きしめてしまいたくなるが、そう思ってしまう自分が許せなくなる。  今は魔法で操

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第42話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第41話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第41話 貞操の危機 「違う!」  焦りから、声を張り上げて否定した。  そんな俺を冷やかすようなカゼマルの視線に、背筋がゾクっとした。 「よし! 決まりだな。よーしよしよし。それじゃあ簡単だ。俺の魔法でおまえに惚れさせてやるよ。何なら、この場で犯しちゃいなよ。それで女もおまえもハッピーだ」  その言葉を聞いた瞬間、俺はこいつに殴りかかっていた。  だが虚しくも返り討ちにされて、吹き飛ばされてしまう。  それでも俺は、すぐさまやつに突っ込んでいき、再び拳を振るう。

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第41話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第40話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第40話 カゼマルの脅威 「何か罠があるかもとは思ったけど、なんでこんなにたくさんの魔族の気配に気づかなかったんだろ」  危機感のない感じで、シャインが首を傾げる。  大柄な魔族が、手首に取り付けている腕輪をつかんで回すしぐさを見せた。 「おまえにはもう俺の正体がバレてるらしいから教えるが、あの魔族の腕につけられた腕輪だ。あの腕輪は魔族の力を抑えることができる代物なんだ」 「なーるほど。タロウ君の腕にもあるねぇ。でも、あんなものがあるなんて。これじゃあ人間の国に魔族が忍

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第40話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第39話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第39話 疾風騎士の実力 「ほらねえ。やっぱりファルコ君一人じゃ、魔王に勝てないでしょお。やっぱり私のほうが強いじゃん」  何とも嬉しそうな顔だった。  なんだ、この女。  ファルコの仲間なのは間違いなさそうだが、手を貸さずに俺との戦いを隠れて覗いていたのか。  シャインはファルコからこちらへと顔を向けた。  その顔に張り付いた笑みは無邪気そのものだ。  数秒ほどの間があり、フッとシャインが消える。  次の瞬間、振り下ろされた剣が俺の目の前にあった。  かろうじて半

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第39話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第38話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第38話 魔王VS勇者  ルドレンオブ国から西へ二百キロほど離れた場所に、その城はあった。  どこぞの国の王族が使っていた別荘だったらしいが、過去の魔王との闘いのどさくさで破壊され、今は誰にも使われることなく放置されているという。  可能な限り急いだつもりだったが、すでに日は傾きかけていた。  俺はあたりの気配を探りながら、廃墟と化した城の中へと入っていった。  一つ一つ部屋を確認し、ついにベッドのような形をした石造りの台の上で横たわるレイナックを発見した。  何かの

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第38話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第37話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第37話 魔王と姫の過去  俺は城跡へと急ぎながら、昔のことを思い出していた。  レイナックと初めて出会い、過ごした数日間のことを。  ◆ ◆ ◆  魔王だった親父が勇者たちに倒され、大打撃を受けたダルゴス一族をこれ幸いと滅ぼしにかかる者たちがいた。他の魔族組織だ。  魔王の息子だった俺は真っ先に狙われ、深手を負った。  さらに使いの魔獣の追撃によって、絶体絶命のピンチに陥っていた。  そしてルドレンオブ国近辺の森の中へ逃げたとき、レイナックに出会ったのだ。  なぜ

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第37話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第36話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第36話 さらわれたあ  翌日の朝、いつものように兵士として姫の小屋を訪ねたが、レイナックの姿はなかった。  入口には夜の護衛当番のおっさんどもが倒れていた。  普段なら酔いつぶれているだけだが、このときばかりはそうじゃない。  当て身か何かで気絶させられているようだった。  部屋の中を探し回ると、棚の上に置かれた鏡に魔族の文字が映し出されているのを発見した。 『レイナック姫は預かった。返してほしくば、タロウ一人で来い』  魔族の文字なので博識でもない限り、人間には

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第36話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第35話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第35話 根回しのドラン  ドランは森の中の、とある洞窟を訪ねていた。  洞窟の入り口にいた魔族に声をかけ、中へと案内させる。  洞窟の中は魔族の若い衆が酒をあおって騒ぎまくっていた。 「よう、ドランじゃねえか。待っていたぜ」  魔王サイズの椅子に座っている大柄な魔族の男が、両隣にいる女魔族の肩を抱き寄せながら言った。  この男は洞窟内の若い魔族たちを仕切っている者だ。 「がははは、カゼマルよ。相変わらず元気そうで何よりだ」  ドランがそう言うと、ドカッとカゼマル

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第35話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第34話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第34話 シャインの結論  タロウがレイナックと町へ出かけるという情報を得て、シャインは彼を付け回していた。  気配を絶つ術はシャインの得意技だ。  たとえ相手が勇者ファルコだろうが魔王だろうが、気付かれない自信があった。  尾行において、シャインの右に出る者はそうそういないだろう。  しばらく観察してみたものの、タロウが魔族だとは思えずにいた。  しかし、ひと騒動あったおかげで、タロウの真の姿の一端を垣間見れた。  あの気配は間違いなく魔族のもの。  ドランの言葉も、

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第34話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第33話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第33話 町の喧嘩 「な、なんだ、きさま!」 「姫の護衛だ。姫には指一本、触れさせない」  今の登場シーン、なかなか良かったんじゃないかな。  しかし、シルバーランクか。  20%で倒せるかな。 「姫? 姫だと? その薄汚い格好の女がか?」  細身の男が、鼻で笑うように言った。 「そうだ! このお方こそルドレンオブ国の第三王女、レイナック姫なるぞ! 控えろ!」  よし!  さすがの貴族とやらも、王族相手に無茶なんてしないだろう。  これで男も引き下がるはず。  

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第33話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第32話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

          第32話 迷子  なんてことだ。  心配していたことが、ついに起きてしまった。  レイナックが俺とはぐれて、迷子になってしまったのだ。  いや、気を付けているつもりだったんだが、彼女があっちこっち走り回るものだから。  外出が久しぶりすぎて、ついはしゃいでしまったのだろう。  自由にさせてあげたくて監視するだけに留めていたが、しっかり手を握っておけばよかった。  それにしてもこの町は、本当に人が多いな。  そのうえ橋の下にも通路があったりと、町全体が相当入り組んでいる

          「魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく」第32話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)