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ヨネダ2000の衝撃

はじめてヨネダ2000のネタを観たのは、2021年M1グランプリ準決勝だ。
金属バットを楽しみにして、決勝の日の昼間、テレビ中継されている準決勝を見ようとテレビをつけると、緑の青のカラフルな服を着た女性二人が、怪しげな動きをしていた。

途中から観たのだから、内容が分からないのは当然かもしれないが、従来のしゃべくり漫才とはあまりに違いすぎた。
というのも体重116kgの「愛」は、ずっとYMCAを踊っているのだ。

面白さが全く分からずこれが準決勝に出ているというのは、何かの間違いではないかと思った。

その後、決勝が行われ、優勝は錦鯉に決まった。
準決勝のネタは、YouTubeで配信され、私は結局そのいくつかを繰り返しみた。
その中で圧倒されたのがヨネダ2000だった。これは、腹を抱えて笑えるかどうかということではなく、誰のネタを一番みたいかということの答えのようなものだ。

先日、2022年M1グランプリの3回戦のネタがYouTubeで公開され、ヨネダ2000に改めて感動した。開始早々、「誠」が、「愛」のあたまの中を演じるのだが、砂浜で寒風摩擦をさているおじさんや、波に乗っている郷ひろみなど、シュールでナンセンスな設定が続く。
その設定自体に面白みを見出すわけではないが、その後、「誠」と「愛」のセリフが一致する。

この点の鮮やかさは、2021準決勝の「YMCA寿司」の、デフテックの合唱でも見られた、すでに彼女らの定番のパターンとして定着していると思う。
また、「YMCA」や「どすこい」、今回でいえば「ファンファンファンファン」という吹き出しの効果音が繰り返し用いられることで、例えばオリエンタルラジオなどの「リズムネタ」の系譜とも言えると思う。

私はこのようなネタの自由さと斬新さに感動している。
金属バットのネタが、間や呼吸やアドリブなどの、いとしこいし以降の正統なしゃべくり漫才だとしたら、ヨネダ2000は明らかに前衛的だ。
個人的にどちらも好感を持っていて、それはやはり過去の漫才の知識と、リスペクトを感じるからだろう。

一度見て理解できないという点も、チュートリアルなどのネタとは違う。
何回も見ることでネタの全容がつかめてくる。YouTubeで観るという形式にあっている。中毒性があり、何度も再生したくなる。
そのことで喚起させるのは、繰り返しになるが爆笑ではない。観ることで得られる満足感である。これは感覚的なものだ。

特にネタの発想力というのは、卓越したものがあって、楽しい。
しかし、このようにワクワクされるネタが、いつまで作り続けられるのか、怪しいところでもある。
高橋源一郎の小説みたいに、デビュー当時は素晴らしくても、長続きしないかもしれない。

私は小学生だった2006年のチュートリアルの時から、M1は欠かさずみているから、自分より若い世代の才能ある漫才師という面もふくめ(ま、年齢はどうでもいいんだけど)、とても着目している。

ネタ作ってる誠さんなのだが、芸名は清水亜真音のままのほうが響きとしてもいいと思うんだけどな。。。


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