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茶の畑

先週、仕事で静岡にあるお茶の製造工場を視察に行った。一緒に茶畑も見学させてもらった。

別に契約書を交わした覚えはないが、仕事のことは機密であるだろうから、どこまで書いていいのか定かではない。
なので詳しく書かないようにするつもりだが、そうすると、普段の業務を些細に描く、「私小説」というのは成立できないことがよくわかる。
世の中にある小説は、学校が舞台のことも多いが、職場が舞台だと、細かい業務を書くことが許されていないからだ。
会社との雇用契約を破ってまでも、書く意義もない。
冒頭の写真も、移動中の車から撮ったもので、実際に見学した農園ではない。これなら載せても大丈夫だろう。


私は実際に茶畑をみて、ツバキ科のこの植物がどのようになっていて、どの部分が採取されるのかを知った。 
また、茶農家の現状も知った。平均年齢は70歳を超えていて、後を継ぐものが減っているから、国内の生産量は年々落ちていく。資材費や物流費があがっているのに、茶の価格が上がらないのは、メーカーの努力ではなく、茶農家が割りを食っているのだ。

オフィスワークに飽き飽きし、田舎で農業でもやりたい、という考えることはよくあるが、その実現がいかに前途多難かとも考えさせられる。

静岡は山も海もあり、風景が良かった。
昼にうなぎを食べながら、取引先の男性が、この辺りは東海道の宿場町だったと説明してくれた。
大きな川があり、そこを人力で渡る。人四人が船を担ぎ上げて渡るわけだ。
しかし大雨が降ると、渡れない。それで人が泊まる。宿場町となって儲かる。あえて橋をかけない。
そのような初耳の話は、私にこの国の人々が生きてきた歴史を感じさせて、いい気持がする。

そのような江戸時代からも、お茶は嗜まれてきた。

そんな感じで静岡から帰ってきたが、来週また、佐野元春のライブを聴きに静岡に行く。出張は急に決まったから、二週連続で新幹線に乗って同じ駅までいくのは、不思議な感じだ。

来月の休みには岩手に行こうと思っている。前から行きたいと思っていた、「おくのほそ道」に登場する中尊寺を見たいのだが、それとともに、沼田真佑「影裏」に描かれる風景が、私を導いているようでもある。

別に最近「影裏」を読んだわけではないので、とするとずっと心に残っているこの作品は、私にとって名作というわけだ。
漢字が合っていたか、「沼田真佑」をググると、最新作が「茶会」という題の幻想小説ということで、お茶関連であるその偶然に驚いた。

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