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カレー食べ放題のエッチな個室ビデオ店

初めて訪れた池袋の個室ビデオ店は、カレーがおかわり自由の食べ放題で、無料だった。
個室ビデオ店とは、えっちなビデオをフロントで借りて、個室でみるもので、受付したときにお手拭きを4、5枚とコンドームをひとつもらえる。グッズは大丈夫ですか?、と、フロントの隣にあるテンガやその他がすすめられる。

私はよく利用している。個室は大都会において、自分だけの空間であるからだ。
でもカレー食べ放題があるなんて、知らなかった。
どうやら大盛況のようで、平日の夜、満員だった。
だから番号札をもたされて、全裸や半裸で破廉恥なパッケージに囲まれた空間で悶々としながら待つことになる。

一般映画やドキュメンタリー、それに漫画も置いている。
わたしはその棚でk1のDVDとトマス・ピンチョン原作の映画「インヒアレント・ヴァイス」をみつけた。

k1はヘビー級の世界王者を年代別に言えるくらいにはよく見ていた。しかし、各地の予選と選手の控室の様子が収められた試合は初めて見た。
AVよりむしろこちらに感動していた。

「インヒアレント・ヴァイス」は、ポール・トーマス・アンダーソン監督、音楽はレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが担当している。

私はこれを上映当時、京都から大阪の梅田スカイビルまではるばる観に行ったのだった。
しかも今は疎遠になった尊敬する友人といったものだから、思い出深い。
時間が足りず飛ばしながらみたが、映像にただよう70年代の雰囲気をよく出している。もう60年代ほどの希望はなくて、シャスタもビーチを出て、大人の世界に脚を入れている。
というかキャラの名前がそれぞれ良すぎる。
シャスタのヌードシーンも、素晴らしい。

私もいろいろ自由で暇だった大学時代から、仕事帰りに個室ビデオ店によるサラリーマンになっているのだから、時の流れは残酷である。
失ったものの数を指折り数える。

家に帰って途中で挫折してたLAヴァイスを読みはじめ、通読した。ピンチョンの初期作と比べ、完成度は高くないと思った。

それからYouTubeに投稿を始めた。三島由紀夫の動画は一万回再生行くかな、というくらい再生されており、このようなものをもっと作りたい。

それからYouTubeを宣伝するために、昔あれほど毛嫌いしていたインチキ読書垢をはじめ、一向に平気でいるというのが、ここ数日の出来事である。
在宅勤務が許されている点が、このような活動ができる所以である。ありがたい。

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