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石橋を叩いて落とす日系企業 vs 走りながら絵を描く外資系企業


シリコンバレー発、某サイバーセキュリティ企業E社の2次ジョブインタビューにて筆者が体験したお話。

面接官は、シリコンバレーの本社オフィスで働いている導入担当の米国人エンジニア。
 
「いま日本の大手企業向けにプロダクトの導入中だけど、
 
日本の企業は、実績のある最新AIプロダクトなのに全然信用しないんだ」と面接官は言った。
 
「もしかして、日本企業の方は、エクセルで独自の受け入れチェックリストとか作ったりします?」と私は尋ねてみた。
 
「そうそう、そうなんだよ・・おかげで導入が全然進まないんだ!」と苦笑していた。
 
なんでも、日本のクライアントは、米国の本社から提供チェックリストでは不十分だと指摘し、
 
独自の導入チェックリストをもとに、問題を管理しチケットを上げているらしい。
 
「日本のクライアントは、ユニークですからね。過去には、CSVデータをエクスポートできないのか?とのリクエストがありましたよ」と私は言った。
 
「それ、それ!今まさに、米国の開発チームに仕様追加の依頼を出しているところなんだ」と彼は教えてくれた。
 
私は、エンジニアの彼と意気投合し、2次面接インタビューを終えた。

もちろん、この企業からジョブオファーを頂くことが出来た。

失敗を極端に恐れる日系企業


他社(北米市場)で実績のあるプロダクトなのですが、日本の企業はとにかく失敗を恐れ慎重にプロジェクトを進めます。
 
まるで、成功を望むのではなく、失敗を恐れている様にも見えます。

導入に少しでも問題があると、責任問題が発生するからなのでしょうか?

一方、海外の企業は、一気にシステムの切り替えを行い、問題があれば運用の中で解決を図りながら対応します。

特に、SaaSのプロダクト(アプリ)は生き物の様に常にコードが変更され、ダイナミックに市場にニーズに合致する様に進化します。

マイナーなバグや、突然の仕様変更はSaaSではつきものなのですが、100%の動作を期待する日本のマーケットでは、なかなか受け入れられない様子です。

走りながら絵を描く外資

 
司馬遼太郎の表現を借りると、外資はまさに”走りながら絵を書く”感じですね。
 
外資系の”走りながら絵を書くと”アプローチは、アジャイル開発にも通じる柔軟でダイナミックな企業文化です。
 
”石橋を叩いて渡る”的な日本企業的なアプローチと、”走りながら絵を書く”、外資的なアプローチは、
 
外資系に入社して仕事をする上で、知っておくべきとても大切なポイントになります。
 
例えば、外資系企業は、(日本企業の標準で比較すると)プロダクトの完成度が60~70%でマーケットに投入しきます。
 
多少のバグや、社内のデリバリープロセス、サポート体制の準備ができていなくても、プロダクトとしてユーザに提供を始めます。
 
一方、日本の企業は、プロダクトの完成度、社内プロセス、例外処理が100%議論しつくされ、
 
サポート体制も完全に整ってから、ユーザーにサービスを開始するのではないでしょうか?
 
外資では、まあ、モノはいから、とりあえず、リリースしてから考えようよ、というアプローチなのですが、
 
日本企業は、”もし”、お客様がこの様なつかいかたをすると、〇〇と不整合が発生する”かも”しれないので、
 
対策を考える”べき”なのではないでしょうか?と、延々と妄想的な議論を重ねるでしょう。
 
インターネットが爆発的に普及することになった、TCP/IP over ADSLがまさに、この典型で、
 
当時NTTの判断は、データ・パケットが途中でドロップし、その都度再送するしくみであるADSLは、
 
当時の専用線の品質と比べると劣るので、”使えない”という判断でした。
 
でも、実際はADSLで、全く問題はなかったですからね 
 
この事例は慎重すぎると、ダイナミックな技術革新に乗り遅れる典型なのでは、ないでしょうか?
 
企業文化論になってしまいましたが、外資に転職を成功させるにあたり、知っておくべき大切なポイントだと思います。
 

シドニー外資ウオーカー 転職コンサルタント 関 眞嗣(せき まさつぐ)

https://www.linkedin.com/in/masatsugu-seki-619997164/

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