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外資系におけるレイオフの実態

気がつけば約1年ぶりの投稿です。前から書こうと思っていた内容について関連するニュースで賑わっており、良い機会だと思ったのが久しぶりに投稿する理由です。

そのニュースというのはTwitterの買収とそれに続くリストラです。元々7,500人いた社員が、現在は2,700人にまで減少したということで、実に64%が解雇されたことになります。この規模のテック企業ではあまり聞かないような大規模なレイオフですが、イーロン・マスクが買収する前から、買収後に大規模なレイオフがあるだろうということは私の耳にも届いており、想定の範囲内ではありました。

タイミングを同じくして、その他のテック企業によるレイオフも次々と明るみになりました。背景にあるのは、グローバルの景気減速で、どのテック企業も従来の成長戦略の見直しを余儀なくされているようです。

私の勤める会社もその例外ではありません。レイオフの比率こそそれほど高くはないものの、やはりレイオフが実施されました。前に働いていた会社でも、10%を超える規模のレイオフが実施されたので、これが2回目です。いずれのケースも私は直接の影響を受けませんでしたが、前の会社では私の直接の上司がレイオフの対象となりました。また、日本オフィスの多くの同僚もインパクトを受けました。

以前外資系における解雇についての記事を投稿し、そのパターンのひとつとしてレイオフについて言及しました。今回の記事では、外資系におけるレイオフの実態について、少しコメントしておきます。

レイオフはどういう時に起きるのか

大規模なレイオフが行われるのは、ビジネス戦略の大きな転換が求められるような状況が発生した時です。一般には「深刻な赤字などの経営危機にある場合」と理解する人が多いかもしれませんが、必ずしもそれだけではありません。経営的には黒字だったり、売上成長が続いている状態であっても、リストラは敢行されることがあります。というより、むしろそちらのケースの方が多いのではないかという印象です。

テック企業はここ数年この世の春を謳歌しており、多くの企業が成長路線でした。人材獲得競争も厳しく、シリコンバレーのようなエリアでは人件費も高騰していました。成長路線であるということは、そうした人員の増員が計画されてきたわけです。それが、2020年からのパンデミックと最近の国際情勢などを原因とするグローバルの景気減速により、成長路線の見直しが余儀なくされています。人についていうと、実際のビジネスキャパシティに対して、過剰人員となっており、結果としてリストラを断行せざるを得ない状況となっているのだと思います。

グローバル企業、特にアメリカ資本の企業、その中でも上場企業は、株主価値を最大化するための経営を強く求められることもあり、こうした果敢な行動が日本企業と比較して、素早く行われる印象です。事実、私が間接的に経験した2社のリストラについても、いずれも売上成長が続いている状態であり、財務的には万全の状態の中でリストラが行われました。

レイオフの対象になる人はパフォーマンスで決まるのか

ではどうした人がレイオフの対象になるのでしょうか? Twitterのレイオフに対して人々が語っている内容を見ると、パフォーマンスや業務態度に問題がある人がレイオフの対象になっていると考えている人が多いように思えます。実際、そうした側面が全くないとは言いませんが、ほとんどのケースでは個人のパフォーマンスは問題とされません。問題とされるのは組織/部門レベルのパフォーマンスであり必要性です。

外資系のレイオフは基本的に部門(やポジション)レベルで行われます。具体的には、A部門とB部門とC部門から10%ずつ人員を削減するのではなく、C部門がなくなります。そしてC部門にいた人は原則として全員がレイオフされます(場合によっては、他部門への配置転換などが行われるケースもありますが)。つまり、どれだけ優秀な人であっても、自分が所属する部門が閉鎖対象となってしまった場合は、レイオフされてしまうわけです。まさか、と思うかもしれませんが、実際にそうしたことは普通に起こっています。

実際にレイオフの対象になるとどうなるのか

私自身は直接レイオフの対象になったことはないのですが、レイオフの対象になると、然るべきポジションの人から通知があるようです(企業によると思いますが)。そして、どこかのタイミングで退職パッケージ(金銭補償や再就職支援)についての連絡があるようです。

通知されてから実際に業務を離れる期間については、おそらくまちまちだと思いますが、1か月を超えて勤務をするようなケースは私自身は見聞きしたことはありません。恐らく1週間以内には社内ネットワークへのアクセスが遮断されていると思います。

外資系テック企業では、経営再建中のような状況ではない限り、それなりに手厚い金銭的補償がされるはずなので、すぐに経済的に困窮することはないと思いますし、外資系の人材流動性は日本の中にあっても比較的高いので、再就職に困ることもそれほど多くはないはずです。転職のインタビューにおいても、リストラはネガティブな評価になりません(そのインタビュアーが十分にこの業界の慣習について理解していれば)。

ただし、現在はグローバルでの景気減速が背景にあり、多くのテック企業が、採用減速・凍結をしている状況なので、それなりに厳しい状況なのかなと想像します。

まとめ

今回は外資系におけるリストラの実態について、私の知る範囲で書きました。外資系においてリストラは、企業価値向上のために度々実行されることのある経営手段であり、個人パフォーマンスとは無関係に対象が選ばれることもある、ということについて語りました。

そういう意味で、リストラは、外資系で働く限りは、ある意味では天災のようなものです。予測することは難しく、自身に降りかかるかどうかはコントロールできない側面があります。そのこと自体は残酷な一面といえますが、一方で人材流動性の高さであったり、リストラされた人たちをLinkedInなどでサポートしようとするネットワークが充実していたりというのは、良い側面でもあるかなと思います。



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