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選ぶ自由と胸を張る無銭飲食(2845文字)

サマソニ声出し問題

こちら我々業界や、そのファン、またはこのニュースを目にした人の間で盛り上がっている。

どのような意見が戦っているかというと

ルールがわかっている上で出演を決めたのにそれを破るなんてとんでもない

海外では声出すのなんて当たり前だ。そもそも他の外タレも声出させてる。ワンオクがフェスの現状にカザアナあけてくれた!

当たり前だけど擁護派と否定派での熱い戦い。

SNSで議論が盛り上がるときは大概空中戦で実は同じ世界線にないのだけれど、今回も無事そんな感じです。ちなみに自分は否定派であります。それはワンオクの方の人格や音楽に関しては、一切思うところがなく
「サマソニ」で行った「声出しを煽るMCの内容から導かれる姿勢、またはそれを擁護する人たちの姿勢」についてのみ、である事を先に名言しておきます

①ルールを決められるのは主催者のみである

ルールというと堅苦しく感じるかもしれないけれど、日本の音楽関係者がこのコロナ禍でようやく救い上げてきた社会との約束、積み上げてきた信頼からの妥協点と言い換えてもいい

ライブは声を出したい、そんなの当たり前だ。その方が絶対に楽しい。海外ではノーマスクでコロナ禍以前の状態だ。それもライブの内容だけなら羨ましい。

だけどその方針を決められるのは主催者のみである

出演者、お客さん、関わる人たちといった主催者以外が選べるのは

「そこに関わる」か「関わらないか」のみである。

ワンオクは今回の姿勢を貫くなら

「サマソニの声を出さない姿勢は俺たちと合わないから出演しません」

と明言して出演辞退するべきだったのだ。そして何万人と動員を持っているモンスターバンドなのだから、声出しOKモッシュでもなんでもありのライブを主催して(現状の国内ルールだと国内施設は正直貸してくれないかもしれないけれど)、最初からそのルール、方針を明記して堂々と立ち振る舞うべきだったのだ。インスタで先に方針を言う、は全く意味をなさない。「サマソニに出演する」時点で「ルールは守るよ」に同意している事になるから

ワンオク出禁とか置いておいて、これでフェスに対しての国内での信頼はまた損なわれた。エンタメに対してもともと厳しいんだもの。手ぐすね引いて待ってるよ、ぼろを出すのを。

ライブとは声を我慢するものではない、そんなのはライブじゃない、と思う人はいかないでそういうライブを主催すればいいのだ

お仕事も受けなければいい。それは正しいとか間違っているとかじゃなくて人生におけるその人のコンセプトだから。

彼らと、その意思を尊重する人たちは自分たちのコンセプトを主催者に押し付けている、無責任にも。

②今回のは完全なる騙し討ち。無銭飲食みたいなものである。

牛丼屋があるとする。以前は300円で食べれたが、何が理由かわからないがあるときから500円に値上げした。あなたはそこの牛丼が大好きです。どうしますか?

そう、あなたが選べるのは「もう、この店にはいかず、食べない」か「500円払って食べる」このどちらかである。喜んでたべる、愚痴を言う、などの感情は全く関係なく、そしてこの500円という金額が適正かどうか、などこの事実には関係ないのだ。

そして今回のサマソニの話を当てはめると

飲食のプロの人が牛丼を食べに行って、食べ終わったもしくは途中に「いや、この牛丼500円じゃおかしい。俺の地元じゃ300円でやってるぜ。だから300円しか払わない」と明言。500円は高い、おかしいと思っていた人たちが賛同の意を続々表明。

みたいに見えるんだけど。もしかしたら本当に500円という値段設定はおかしくて、サマソニも未来の歴史により「あの時の声出し禁止はおかしかった」と証明されるかもしれないけれど、それをわかったうえで選択している主催者の選択をそれ以外の人が勝手に変えるのは無銭飲食と変わらない。

食べちゃったからね、もう戻せないよね。

③赤信号皆で渡っても結局全員捕まるべき

海外のバンドであれだけ声出してたんだからもういいだろに関してはワンオク側の気持ちもわかってしまう。だって自分たちの直前までめっちゃ盛り上がってる!声もめっちゃ出てる!これを制限する?つまり盛り下がっちゃう?そんなん許される?

という気持ちにステージの上の人間ならなってしまうと思う。それくらいのエネルギーがステージにあって、俺なんて多くて数千人の前でしか歌った事ないから比べ物にならないけれどその魔力のような魅力に取りつかれているからステージにいるので、その何万倍もエネルギーを感じている人たちがそれに抗える、たとえばHYDEさんとかワニマとかすげえなってそっちを感動します。

ここに感しては本当は直後にサマソニ側が声明を出すべきだったんだよね。「ルールを守ってもらえなかったバンドに関しては国内外に問わず出演を見合わせてもらいます」とでも。

でもそれも厳しいじゃない?この人たち呼びたい!見せたい!でもルールが…。そのはざまで苦しんでて、その中で国内において絶大な影響力を持っているワンオクの発言だったのでよりピックアップされた側面はあると思います。

もし彼らが(表現は極端だけど)罰せられるとするならば、世論ではなく、システムからであり、そして海外のバンドも同様であるべき。

俺たちは音楽に興味がない人たちの社会ともつながっている

今回なぜこんな長々と書いたか、それは音楽が、ライブが大好きだからです。そしてそこに全力で人生をかけている人たちが沢山いるのを知っているから。

多くの人が多かれ少なかれ感じているように、日本は神経質でありながら鈍感で他人事、といったちぐはぐな社会になりつつあります。

ライブは本当に責められやすいエンタメです。都内は街を歩けば、ぎゅうぎゅうの立ち飲み屋、買い物客、友達同士での会合。ライブで声出しを我慢しているのがバカみたいに感じることもあります。

しかし、じゃあ俺たちも!とやるとまず主催者は場所を借りれなくなります。大きいところは地方自治体などが管理していることもあり、開催自体が難しくなったのは記憶に新しいと思います。

音楽を愛する人の気持ちは一緒だと思います。みんなでその未来を守るために安易な選択、発言で音楽の評判を下げるのをやめませんか。

対応策

1万人くらいのライブをします。声出しOKソーシャルディスタンスなし!その代わりライブ終了後2週間隔離されます。(宿泊施設の確保・医療関係者、施設の確保・ライブ施設、対応スタッフの確保)

今の社会だとこれくらい付きまとうよね。面倒!なんで俺がこれに付き合わなきゃいけないんだ!

そうです、行かないって選択はあるんです。ルールを変えるのは本当に時間がかかる。破る人がいるとそれに対応するルールが増えてまた窮屈になるだけ。だって守ってくれないんだもの。

権利には責任がかならずついて回る。責任があるから権利を行使できるともいえる。

早くこんな窮屈な世の中じゃなくなることを祈りながら俺は今日もルールを守るのだ。

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