5分でわかる!高度人材在留資格「技人国(技術・人文知識・国際業務)」の取得要件から申請まで
こんにちは!外国人採用ラボです。外国人材の採用を検討している企業様に向けて、役立つ情報を発信しています。今回は一般的な在留資格「技人国」について、採用担当者が知っておくべき情報をこの記事で徹底的に紹介します。
技人国について
まずは、在留資格「技人国(ぎじんこく)」とはどういうビザなのか、確認しましょう。
日本の経済社会の活性化に繋がる専門的・技術的分野に限られ、業務内容ごとにいくつもの在留資格があります。就労が認められている在留資格の中でも、多くを占めるのが技術・人文知識・国際業務です。この資格の総称が技人国です。就労を目的としている外国人が取得できる資格で、現在正規雇用で働く外国人の半数以上がこの資格を持ちます。最長5年で更新が可能です。
技人国の内容を簡単に表でまとめてみました。
令和元年12月末時点で在留外国人の総数は293万3,137人ですが、技人国の在留資格を持っている在留外国人は全体の約9%のおよそ27.1万人に上ります。在留外国人の約10人に1人はこの技人国に当てはまるということになります。
出典:出入国在留管理庁 http://www.moj.go.jp/content/001331344.pdf
技人国の具体的な対象職業
職種は、コンピューター技師や自動車設計技師などの技術者、経理や金融、為替ディーラーやコンサルタントなど人文知識を備えた総合職、海外営業や通訳、民間企業内の語学指導など外国人としての知識を活かした国際業務が対象です。具体的に内容を見ていきましょう。
・技術とは
理工、工学、その他の自然科学などの分野における技術や知識を要する業務のこと。
機械・電気・IT分野のエンジニア、設計、生産技術、生産管理、品質管理、商品開発などが該当します。また、厚生労働省のHPでは機械工学などの技術者、システムエンジニア等のエンジニアが当てはまると記載されています。
・人文知識
法律学、経済学、社会学、その他の人文科学の分野における技術や知識を要する業務のこと。
カスタマーサポート、宣伝PR、マーケティング、通訳、翻訳、営業活動における支援業務などが該当します。また厚生労働省のHPでは企画、営業、経理などの事務職が当てはまると記載されています。
・国際業務
外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を要する関連業務のこと。
海外取引が発生する企業における経営管理、財務経理、総務、人事、広報、IR等の管理部門などが該当します。また厚生労働省のHPでは英会話学校などの語学教師、通訳・翻訳、デザイナーが当てはまると記載されています。
技人国の取得条件
技人国は大学で得た知識や外国語を必要とする仕事でなければならず、例えば工場のライン業務、物理や倉庫内での作業、建設や土木現場での作業、飲食店での接客作業などは不可とされています。具体的に条件を見てみましょう。
・仕事/業務の条件
① 学術的知識をいかす仕事
② 語学力をいかす仕事
③ 外国人だからこそわかる海外の文化や考え方をいかす仕事
・学歴/経験の条件
① 大学、短大(国内、海外の大学を問わない)卒業程度の学歴がある
② 専門学校卒でもOK(専門学校は国内の学校に限る。日本語学校は対象外)
③ 10年以上の実務経験(在学期間も含む)があれば許可されることもある
上記を満たせば雇用形態は問われません。正社員、契約社員、アルバイト、派遣社員でも問題ありません。
技人国の申請が必要なケースと申請方法
技人国の申請は、採用時の状態に応じて必要な申請が異なります。考えられる主なケースは以下の通りです。
① 留学生を採用するとき
② 既に日本で働いている外国人を採用するとき
③ 現在海外にいる外国人を日本に呼び寄せて採用するとき
各ケースに分けて見てみましょう。
①留学生を採用したとき
就労に際し、留学から別の在留資格に変更する場合は、「在留資格変更許可申請」「所属(活動)期間に関する届け出(卒業・退学時)」を行います。本人の住居地を管轄する地方出入国在留管理局に書類を提出。在留資格変更許可申請の処理には1~2ヶ月程度かかるため、卒業の3~4か月前には申請を行うほうが良いでしょう。
在留資格変更許可申請http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-2.html
②既に日本で働いている外国人を採用したとき
転職先でも同じ在留資格で活動できる場合、「所属(活動)機関に関する届け出(入・退社時)」を最寄りの地方出入国在留管理局に提出するだけで大丈夫です。2週間以内に提出しなかった場合、20万円以下の罰金の可能性もある(提出期限を過ぎても早めに届け出ること)。在留期限内ならば転職は何回しても問題ありません。
所属(活動)期間に関する届け出http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00014.html
③現在海外にいる外国人を呼び寄せて採用するとき
海外から日本に招聘され、新たに国内で就労する場合には入国前に「在留資格認定証明書交付申請」を行う必要があります。本人はまだ母国にいるため、雇用側である企業が代理で申請することが多いです。処理には1~3カ月程度かかります。この手続きの後に本人は本国の在外日本国領事館にて査証(ビザ)を取得できます。
在留資格認定証明書交付申請 http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-1.html
仮に採用後に在留期限が3カ月を切った場合、「在留期間更新許可申請」を行う必要があります。申請することで満了日の3カ月前から更新が可能です。もし更新を忘れてしまった場合は速やかにその旨を伝え申請を行いましょう。更新をしないと不法在留者となり、外国人及び雇用者双方に思い刑事罰が科せられます。
在留期間更新許可申請 http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-3-1.html
また、在留資格の申請は申請する本人(外国人)と雇用機関(企業)でもできますが、手間を省きたいときや業務内容が特殊で立証が困難な場合などは行政書士や弁護士に代行を依頼するケースがあります。申請取次行政書士は必要な講習などを受けて資格を得た行政書士で、申請取次行政書士、弁護士は申請者本人と雇用機関双方の書類作成、申請者の居住地を管理する地方出入国在留管理局への書類提出、許可時の手続きまですべて代行することができます。資格がない一般の行政書士の場合、書類を作成することまでしかできないため、注意してください。
申請取次行政書士も弁護士もたくさんいますが、依頼する際は外国人雇用の事案を数多く取り扱っている人に依頼したほうがいいかもしれません。申請取次行政書士を探す際のポイントを纏めました。
・外国人就労ビザの申請専門で実績がある
ホームページなどで外国人対象の就労の在留資格(就労ビザ)の申請専門の事務所であることを確認。一般的な業務内容だけでなく、法令通達などの詳細な情報を提供されているか随時情報が更新されているか実績数などもチェックしたほうがいいかもしれません。
・外国人目線で対話できる
日本で働く外国人目線で考え、外国人の立場で本人と対話できる能力も欠かせません。上から目線で一方的に話したり、親身に相談に乗ってくれない人は避けましょう。
・本人や現場を確認し、調査した上で書類を送る
外国人の就労ビザに関する書類作成には本人確認、現場確認などの調査を徹底することが基本です。これらをおろそかにしている行政書士も多く、自ら足を運んで職場を確認し外国人本人と会ってきちんと話を聞いてくれる人に依頼することがベストです。
・出張費を除き、15万円程度で対応する
一般的な報酬額は、在留資格の変更や認定で15万円程度、在留資格の更新で5万円程度です。相場より高すぎる業者は虚偽申請などを扱っている可能性があります。逆に安すぎる場合、経験が少なく煩雑さを理解していなかったり自分の事務所で手掛けず、別の事務所に依頼している場合もあるので注意しましょう。
申請時の提出書類
申請は地方出入国在留管理局で行われます。各在留資格で許される活動内容とこれから行う業務が一致しているか、取得基準をクリアしているか、またそれらが事実であるかどうかという点が検討されます。作成すべき書類は主に以下の通りです。
所属機関区分のための証明書や追加資料は機関によって異なるため、出入国在留管理庁のホームページ(http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00089.html)をご確認ください。
就労ビザの就労内容、取得条件について少しでも不安があるときは、専門の行政書士(申請取次行政書士)や弁護士に依頼すると安心でしょう。またそれぞれそろえるべき書類が異なりますので、まずは法務省のウェブサイトを参照してください。
審査のポイント
技人国の審査では、大学卒業(短大以上)より専門学校卒の方が就労内容との関連性が厳密に問われます。学校教育法において、専門学校は職務や生活技能を、大学は専攻の能力と共に応用的能力を伸ばすための場だと考えられているためです。また、就労内容には学術的知識が背景にあることが必要です。そのため単純労働は認められません。
具体的な例で見てみましょう。
上記は一例です。もし迷ったときは地方出入国在留管理局に問い合わせてみましょう。
インフォメーション・ワンストップ型相談センター
http://www.immi-moj.go.jp/info/
まとめ
今回は技人国のビザについて纏めました。今後も外国人採用について定期的に情報を発信していくので、是非他の記事もご覧ください。もしこの記事がいいねと思って頂けたら、スキ/フォローをお願い致します。
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最後まで読んでいただき有難うございました。
参考文献
幻冬舎 知識ゼロからの外国人雇用 竹内幸一
出入国在留管理庁ホームページ http://www.moj.go.jp/isa/index.html
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin16/