ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 77ページ

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″シュン!″

魔法陣の上に、黒いドレスを

着た、一人の女性が現れる。

「おかえりなさいませ」

玉座の脇に立っていた、全身

を黒い甲冑に身を包んだ女性が、

魔法陣に近づくと、片膝をつき

挨拶した。

ーーここは、暗黒帝国ザハンの

首都、ダークタウンにある、王

城ブラッククロスの玉座の間、

その玉座の後ろに魔法陣はあっ

たーー

「あら、シェザリーさん、ごき

げんよう、あなたが直々に出迎

えてくれるなんて光栄ですわ」

黒いドレスの女性は、優雅な

仕草で挨拶を返す。

「いえ、女王陛下が不在とはい

え、ここを守るのが私のつとめ

でありますから、それに、あな

たに仕える事も、女王陛下のご

命令です」

シェザリーと呼ばれた、黒い

全身甲冑の女性がかしこまった

まま答える。

「ふふふ、相変わらず生真面目

ですのね、という事は、あのこ

は、まだ帰らないのですね?」

「はい、おそらく、レミアの力

が、まだ強いのでしょう、それ

より、フィエルの魔気が消えた

ようですが・・・まさか!」

シェザリーが、自分の推測に

驚いたように立ち上がる。

「いえいえ、まだまだゴミのよ

うでしたわ、フィエルは、あま

りにも、おバカさんでしたので、

わたくしが片付けときました」

黒いドレスの女性は、楽しそ

うに話すと、玉座に腰をおろし

た。

「では計画は・・・やはり早す

ぎたのでしょうか?」

「心配性ですわね、まだ時間は

ありますわ、イアルは滅ぶでし

ょうけれど、あのこの判断は間

違っていなかったと思いますわ、

それより、カラバーンの動向に

気をつけなさいな、わたくしの

眷属とはいえ、元は人間、何を

企んでるかわかりませんことよ

?あれ自体は、たいした事なく

ても、祭司としての能力は、わ

たくしたちの計画の助けにもな

り、邪魔にもなりうることを忘

れないでくださいな」

「はい、わかっております、邪

魔になる時は、容赦なく排除い

たします」

黒いドレスの女性の忠告に、

シェザリーは、両腰に一本ずつ

差してある長剣に目を向けた。

「ふふふっ、その時は、あなた

の美しい魔双剣技を存分にふる

ってくださいな、わたくしも準

備の為、ゴルゴン三姉妹を喚ん

でおくとしましょう」

黒いドレスの女性は立ち上が

ると、再び魔法陣へ移動した。

「では、また」

″シュン!″

短い挨拶を残し、女性の姿は

一瞬で消えた。

(カラバーン、女王陛下に歯向

かうなら、覚悟しておけ)

シェザリーは、甲冑の兜の中

で、自分の紫の瞳が輝きを放つ

のを感じていた。

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