ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 226ページ

二人とも色白で、どことなく

顔立ちが似ている。

そして、共通するのは、赤い

瞳に、鋭く尖った2本の歯・・

・彼女たちが吸血鬼なのは、一目

瞭然であった。

「ちょっとアオイ!喚び出すな

ら完全な姿でって、あれほど言

ったじゃない!」

黒髪ツインテールの方の少

女が、腰に手を当て、葵に指を

つきつける。

「お姉ちゃ~ん!マリ、また、ぺ

ったんこだよぉ!」

金髪でショートカット、左半

分を編み込んでる方の少女が、

自分の胸をみたあと、両手で頬

をおさえ、泣きそうに天を仰ぐ。

「あんたは、まだいいじゃない!

ユリなんて、背まで、ちっちゃい

んだから!」

再び、ツインテールの少女が口

を開き、怒ったように地団駄を

踏む。

確かに、金髪の少女より、幾

分、背が低いようだ。

(やっぱり・・・)

葵は、その場にうずくまりた

い気分だった。

彼女たちに出会ったのは、葵

が屍霊術士《ネクロマンサー》

になり、ケルクの薦めで、低級

の霊と契約しようとしたところ、

何をどう間違えたのか、近場に

いたという、この吸血鬼姉妹を

喚び寄せてしまったのだ。

普通、魔法陣があれば、術者

が襲われる心配はないし、喚び

寄せたものを還すこともできる

のだが、この姉妹、かなりの魔

力の持ち主で、ケルクの助けを

借りて作った魔法陣を、指を鳴

らすだけで消し去ってしまった

のだ。

元々、葵の手に負えるわけも

なく、ケルクが慌てて抑えよう

とするも、それすら全く意に介

さず、召喚した葵の魔力が足り

なすぎた為、本来の姿とは、駆

け離れた姿だと、二人は、葵に激

怒し、あわや殺されるところだ

った。

しかし、これまた偶然に、葵

が後で食べようと、とっておい

た魔法のりんごを見つけた妹の

マリが、それをいっぱいくれる

なら契約してあげてもいいけど

ぉ?と言ってきたのだ。

姉であるユリも、妹に怒りな

がらも、最後は、私にもよこし

なさいよね!と命令してきた。

結局、幸か不幸か、無事契約

することができたのだが、この

姉妹、見た目や仕草は可愛いの

だが、とにかく小生意気なのだ。

外見通りの年齢ではないだろ

うから、小生意気という表現が

正しいとは言えないかもしれな

いが、勝ち気な葵の性格と合わ

ないのだけは間違いない。


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