ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 229ページ

「はぁぁ!三日月斬り[クレセ

ントムーン]!」

一瞬の隙をついて、レーラが

斬りかかる。

「くっ!なにっ!?ぐっ!」

マカラトは、爪で受けようと

したが、爪が伸びなかったため、

とっさに、腰にさしていた短剣で

受けようとするも、斬撃が、

それを避けるかのように弧を描き、

マカラトの体に、三日月型の

傷を刻みつけた。

「ぐふっ!なめるな!」

マカラトは、咄嗟に手の平から

魔力を放出し、レーラを吹き飛ばす。

”ブワッ!ドッ!ドゴンッ!”

「ぐっ!かはっ!」

”ドッ!ドサッ!”

壁に激突したレーラは、意識を

失ったようで、起き上がってくる

気配はない。

どちらにしろ、しばらくは動けない

だろうと、マカラトは、ダークエルフに

視線を戻した。

古来より、ダークエルフの闇の

部分を一手に引き受けてきた

暗殺部隊”棘(いばら)”、あの男は、

それを率いる部隊長のムアガ・・・。

(ホーネスめ!しくじりおったか!)

彼らが、自分を狙って動き出した

ことを知ったマカラトは、

天馬騎士団《ペガサスナイト》を

率いる、ホーネスとバラッドに

命じて、罠を張らせたのだ。

ペガサス特有の音波攻撃は、

彼らの研ぎ澄まされた聴覚を

潰すには、これ以上ないという

ぐらいに最適であった。

天敵とも言える、ペガサスの攻撃を

受けた、ダークエルフの暗殺

部隊は、なすすべもなく壊滅した

はずなのに・・・目の前に現れた

ということは、ホーネスたちが、

しくじったということに違いない。

(よりによって、一番厄介な奴を!)

しかも、そのムアガが手にして

いるのは・・・

「!封樹の笛か!?」

「ご名答、これで、しばらくは、

魔王樹の種から得た、おまえの

力も使えまい」

マカラトの憶測に、ムアガが

答える。

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