ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 4ページ
そこには、長い黒髪を後ろで
一つに束ね、キリッとした目元
が印象的な美女が座っている。
彼女の名前は、神楽坂 沙織
(24才)、女性陣の中では最年長
だ。
噂では、伝統ある大きな寺の
一人娘で、俗にいう《お嬢様》
らしい。
今日も、高そうな白のスーツで
決めている--下はズボンだが、
上着についたヒラヒラが、斜め
にカットしたスカートのように
なっていて、水着のパレオを連
想させるデザインだ--
「失礼な!朝、夕のニュースは
欠かさずみています!」
馬鹿にされたと思ったのか、
彼女は、テーブルに手をつき、
勢いよく立ち上がると、力強く
否定する。
沙織は、女性にしては長身の
為、立ち上がると、背の低い裕
也には、ものすごい迫力だった。
「ご、ごめんなさい!」
思いがけない反応と迫力に押
され、裕也は思わず後ずさる。
「まあまあ、加賀も悪気があっ
たわけじゃないだろうし、許し
てあげてください」
沙織の隣に座る、影山 葵
(20才)が助け舟をだす。
--かけている縁なし眼鏡がよく
似合っている知的美人で、髪は
長く、明るさをだすため、かす
かに茶色く染めていて、服装は、
普段と変わらない感じの、白の
シャツに、紺のニットカーデを
羽織り、下も同色の長めのブリ
ーツスカートをはいている--
「そうですよー、今日は楽しく
いきましょ!」
そのまた隣の、風間 優(18
才)も明るくフォローする。
--まだ幼ささえ感じさせる顔立
ちは、美人というよりは、かわ
いいといった感じで、背は小さ
く、茶色に染めた髪を短く切っ
たボーイッシュな女の子だ。白
い長袖のTシャツの上に、半袖
の、淡いオレンジ色をしたTシ
ャツを重ね着していて、下は迷
彩柄のカーゴパンツという個性
的な出で立ちをしている--
この二人と裕也は、歳が近い
こともあり、普段から仲良くし
ていた。
今回の合コンのメンバー集め
も、二人が協力してくれたのだ。
「そうですね、ごめんなさい」
取り乱した自分を恥じたのか、
沙織が恥ずかしそうに謝った。
「いえ、こちらこそ!」
裕也は、ホッと胸をなでおろ
し、笑顔を返す。
沙織のことは、落ち着いたク
ールな人だと思っていたが、感
情の起伏が激しい人だったんだ
と、裕也は、自分の中の沙織の
イメージを修正した。
「わかってもらえてよかったね、
私、ちょっとトイレ行ってくる
ね」
事が収まったのを見計らって、
葵が、裕也に声をかけながら席
を立つ。
「私もー!」
優も、葵のあとについていく。
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