ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 2ページ

報告を受けたアメリカ政府は、

穴が出現した山を封鎖し、対応

に全力を尽くす事を決めたのだ

った。

やがて、イギリスやフランス、

中国や日本など、世界十ヶ国で

同じ穴が発見され、騒ぎだした

マスコミを通して世界中の人々

が知る事となった。

遠くに現れた新たな謎に、日

常に退屈していた人々が他人事

の熱い注目を寄せ、街には、ひ

っきりなしに様々な噂や憶測が

飛び交い、人々の好奇心をくす

ぐった。

一方、穴が出現した国々には、

世界中からさまざまな研究者た

ちが集められ、世界規模の対策

本部が組織された。

しかし、調査員は次から次へ

と穴に飲み込まれ、近寄って調

査することも、ままならず、研

究は一向に進まないまま、対策

どころか、原因や正体さえも、

推測の域をでる事はなかった。

議論は常に行き詰まりをみせ、

具体的な対策を講じる事ができ

ないまま、時間だけが過ぎてい

く日々が続いていた。

――そんなある日の事、驚くべ

き事がおこった!

突如として、世界中に点在し

ていた十個もの穴が、同時に小

さくなっていき、一時間もしな

い内に、すべての穴が、完全に

消えてなくなってしまったのだ!

その後には、痕跡すら残って

おらず、はじめから何もなかっ

たかのような空間を、虫たちが

優雅に通り過ぎていった。

人々の興味はピークを迎え、

まだ封鎖の解かれていない場所

に踏み入る者も少なくなかった

が、半年もすると、何一つわか

らない状況に、人々の興味は次

第に薄れていき、一年後には、

人々の興味の対象は、他のもの

へと移り、穴の事など記憶の片

隅へと追いやられてしまってい

た。

だが、人々は知らない。

穴が開いていた時にすでに、

この世界に恐怖を振りまくもの

達が生まれでていた事を。

そして、その恐怖ですら、只

の前兆でしかなかったと、人々

が思い知らされるのは、さらに

数年も後の事であった。

今は、誰一人として知る者は

いない。

――そう、今は誰も・・・。
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