ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 103ページ

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″ガキィィーン!!″

暗い迷宮内に甲高い金属音が

響きわたる。

もう何度目だろう、最初の地

裂双撃[ダブルアースクラッシ

ュ]を始め、あらゆる技が、こ

とごとくヴィラスの黒い鱗に覆

われた腕や、漆黒の剣によって

防がれてしまっていた。

(このままでは・・・)

剣を引き抜かれたユロフの体

からは、急速に血液が失われて

いく。

急がなくては手遅れになるだ

ろう。

目覚め[ウェイクアップ]状態

のヴィラスは、力、速さ、共に

すさまじかった。

しかも、ヴィラスのような古

竜人[ハイドラグナー]には、ま

だ2段階ぐらいの覚醒があった

はず・・・。

ーー竜王から直接生み出された

とされる古竜人は、普通の竜人

とは比べものにならない力をよ

うし、覚醒と呼ばれる数段階に

わけられた竜変化を使いこなす

ことができるという・・・。

ただ、普通の人間には、竜人

と古竜人を見分けることは至難

の業であるーー

これ以上覚醒されたら・・・。

「せっかくの宝剣も不純物[まが

いもの]には無用の長物だった

な、お遊びは終わりだ、そろそ

ろ、それをこっちに渡してもら

おう、それが鍵だということは

わかっている」

「!?まさか!」

ヴィラスがいう宝剣とは、ク

ラテスが左手に持つ大剣のこと

だった。

右手に持つ長剣は、聖騎士と

して認められた時に、ラグレス

から与えられたものだが、大剣

の方は違う。

「そう!そのまさかだよ、地竜

王と水竜王には死んでもらう!

これ以上、人間どもに味方する

のは許されぬということだ!」

ヴィラスは、初めて自分から

斬りかかってきた。

すさまじい速さでクラテスの

体に無数の赤い筋が刻まれてい

く。

「くっ!」

覚醒状態にあるとはいえ、ヴ

ィラスの強さにクラテスは目を

みはった。

戦いを長引かせるわけにはい

かないが、ユロフを抱えて逃げ

ることを許してくれる相手では

ない。

こうしている間にも、ユロフ

は着実に死へと近づいていって

いる。

考えてる時間さえも惜しいの

だ。

クラテスは、意を決っし、一

度大きく飛びすさると、一気に

間合いを詰める。

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