ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 72ページ

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「おまえらが六勇者かと聞いて

いる」

再び、化け物は、苛立ちを交

えた声で聞いてきた。

「だったらなんだ!」

気圧されまいと、レオが大声

で返す。

「そうか、おまえらのせいで、長

い時間を無駄にしてしまった、

その償いはしてもらうぞ!・・

・しかし、思ってたより弱そう

な連中だな、ふっふっふっ」

化け物の油断を、グエンは見

逃さなかった。

「今だ!走れ!人をなめるな!

化け物!聖炎流[セントフレイ

ム]!!」

グエンが、こっそり唱えてお

いた魔法をとき放つ。

すると、化け物と、その周り

にいた妖魔たちを、白い聖なる

炎が包みこんだ。

それを確認し、みんな一目散

に後ろへと駆け出す。

「逃がさん!大地の壁[アースウ

ォール]!」

突然、大地が盛り上がり、壁

となって逃げ道がふさがれる。

「ヒトだと?劣化種の分際でヒ

トを名乗るか!はっはっはー!

ならば、我を倒してみるが

よい!むん!」

周りの妖魔たちは、消し炭と

化しているのに、この化け物だ

けは、平然としていて、無造作

に腕をふるっただけで、聖なる

炎をかきけしてしまった。

「馬鹿な!」

グエンは、最大の魔法が、い

とも容易くやぶられ、驚きを隠

せない。

「次は、こちらの番だな」

化け物は、邪悪な笑みを浮か

べると、指先に黒く丸い固まり

をつくりだした。

あんなものをくらったら、ひとた

まりもないというぐらいの、力

の奔流がみえる。

「ん?きさまは!?いつからそこ

にいた!?」

その黒い固まりを放つ前に、

化け物の顔が動揺に歪む。

少し小高くなっている場所に、

黒いドレスを着た女性が立って

いた。

大きな黒いハットを被り、肘

のあたりまである、黒の長手袋

までしていて、貴婦人といった

言葉がぴったりの格好だ。

遠くからでも、妖艶さが伝わっ

てくるような女性だった。

手には何故か、空のワイング

ラスを持っている。

「あら、今きたばかりですわ、

しかし、あなたの言葉使いは、

よろしくなくってよ?」

女性は、化け物に臆すること

なく言ってのける。

「ふん!まさかあの女、喚びだ

しておきながら裏切る気か!?」

化け物が突然怒りだす。

「あらあら、あのこは最初から、

あなたの味方ではなくってよ?」

「なんだと!?」

化け物の叫び声に、我慢の限

界がきたのか、女性が威圧する

ようにつぶやく。

「フィエルごときが・・・その

言葉使いをやめなさいと言って

るのがわからないのかしら?」

「ぐっ、くっ!」

化け物が怯む。

(フィエルごとき?どういうこ

とだ?・・・まさか)

凱の中で、一つの仮説が浮か

びあがる。

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