ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 95ページ

「はん!冗談なんかじゃねぇよ、

ダリアⅡ世は、俺が、この手で殺

したからな」

「馬鹿な!あの城には、この城

と同じように、巨大魔法陣による

強力な結界が張られていたはず、

魔法は使えない上、目印[シー

ル]がなければ入ることもでき

ない!魔法陣を消すとしても、

発動時に決められた、いくつもの

キーワードが必要なんだぞ!?い

ったいどうやって!?」

アグリアから告げられた衝撃

的な内容に、ラグレスの声が徐

々に大きくなっていく。

「な~に、それは後でちゃんと

教えるさ、それより、もう一つ

の良い知らせなんだが、これは

兄貴に関わる事でね、まずは、

親父だけの耳に入れたいんだが?」

「なに!?リベルの!?・・・わか

った、聞かせてもらおう」

ラグレスは、気を落ち着かせ

るように玉座に座り、アグリア

に自分の左側にくるように手で

示す。

「姫様!」

アグリアがラグレスの耳に口

を近付けるかと思ったその時、

オルファが警告の声を上げ、レ

ミアと共にレーラを、アグリア

から引き離す。

その声を受け、ラグレスも反

応するが間に合わず、左腕が宙

に舞った。

「ぐぬぁっ!?」

「ちっ!かわしたか、一思いに

殺してやろうと思ったのに」

ラグレスも、聖ミリアの剣[つ

るぎ]とうたわれた実力者であ

る、そのラグレスに気付かれず、

玉座、そして、その後ろの壁ま

で斬り裂く程の斬撃を放つなど、

アグリアの剣の腕が一月前とは

比べものにならないことを証明

していた。

「お兄様?・・・」

「レーラ様!しっかりしてくだ

さい!」

茫然自失気味のレーラを、普

段は、おっとりしているオルファ

が、珍しく叱咤し、アグリアに斬

りかかった。

″ガキィン!″

アグリアは、軽がると、その攻

撃を剣で受け止め、後ろに跳び

すさり、笑みを浮かべる。

「そうそう、どうやってダリア

Ⅱ世を討ったか再現してやるぜ」

″パチンッ!″

アグリアが指を鳴らした途端、

空間に無数の穴が開き、武装し

た兵が次々と現れ始める。

″ドゴッ!ズダンッ!″

それと同時に、玉座の真上あ

たりの天井を突き破り、黒い影

がものすごい勢いで落ちてきた。

「シュリ!?」

その正体に気付き、我に返っ

たレーラが、その名を呼ぶ。

「申し訳ありません、思ったよ

り数が多く、阻止できませんで

した」

シュリは、傷を負っているよ

うだが、ちゃんと着地していて

大事には至らなかったようだ。

「よくも我が同胞を、ことごとく

殺してくれたな」

続いて天井の穴から、漆黒の

ローブに身を包んだ男がゆっく

りと、空中に浮いたままで姿を

現した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?