ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 8ページ

さっきまで緊張で固まってい

たとは思えない、レオの姿に、

裕也は呆れ、ため息をもらした。

始めからこうなら、笑いにも

っていくことだってできたかも

しれないのに・・・今さら言っ

ても仕方がない事だが、そう思

わずにはいられなかった。

~~~~~~~~~~~~~~

葵と優がトイレから戻ると、

意外にも、部屋の空気は和らい

でいた。

加賀 裕也、楠木 レオ、神

楽坂 沙織の三人が悪魔がどう

のとかいう話で盛り上がってい

る。

おそらく、最近ニュースで騒

がれてる悪魔事件の事を話して

いるのだろう。

あれは、話題に事欠いたマス

コミが流したデマだという声も

少なくない。

葵もそう思う。

「悪魔の存在なんて許しません

!!」

酒の力もあるのだろう、沙織

が、やたら熱くなっている。

少し離れて、凱が相変わらず

本を読んでいる。

そしてそこから少し離れた所

では、涼が紫音に話し掛けてい

て、紫音がたまに頷いたり、「

はい」などと短い相づちをうっ

たりしている。

「ひとまずよかったよね?」 

葵が優を振り向くと、優は、

むくれていた。

その瞳が「さっき言ってた方

法試して」と言っていた。

涼と紫音が仲良くしてるのが

面白くないのだろう。

(やっぱり涼さんの事好きなん

じゃない、しょうがない!かわ

いい妹分のためだ!)

葵は覚悟を決め、みんなに向

かってきりだした。

「は~い、みんなちゅうも~く!

これからゲームをしま~す!男

女交互に座り、隣の人と手をつ

ないでくださーい!」

凱があからさまに嫌な顔をし

たが、気にせず優にうなづきか

け、二人して強引にゲームの形

へと持っていく。

全員が手をつなぎ、円状に座

る形になる。

「おおー!なんだかドキドキす

るなー!」

葵と沙織に挟まれたレオがは

しゃぐ。

もう緊張はしていないらしい。

単純だから、話してるうちに

緊張してることを忘れてしまっ

たのだろう。

「じゃあ、ゲームの説明をする

わね?ん?」

葵はゲームの説明をしようと

して、ふと目の前が歪んでいる

のに気付いた。

どうやら、あの最初の異様な

空気のせいで、いつもより、お

酒を飲むペースがはやかったら

しい。

「あれー?なんか目の前がグニ

ャグニャしてるー」

優が不思議そうな声をあげる。

(?なんで?)

優は、ジュースしか飲んでな

いのだ。

葵が疑問を口にするより早く、

凱の声が聞こえてきた。

「なに?おまえもか?」

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