ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 228ページ

「うそぉ!?もぉ?」

マリが驚いた声をあげると、

ユリが、マリに怒り出す。

「ちょっとぉ、あんたが魔力吸

収解く前に強引に魔法使うから、

弱々のアオイがヘバっちゃった

じゃない!」

しかし、マリも負けじと言い

返す。

「ちがうもん!お姉ちゃんが解

くの遅かっただけだもん!」

「なんですってぇ!私が合図す

るまで待ちなさいよぉ!」

ユリが、妹のマリを上から見下

ろそうと、精一杯背伸びしてる

のが見える。

この姉妹、ことあるごとに喧

嘩して、仲がいいのか悪いのか、

よくわからない。

葵は、朦朧とする意識の中で、

二人の喧嘩を見ていた。

これ以上、彼女たちの力は借

りられそうにない。

数秒にらみ合っていた二人だ

ったが、ユリが身体の異変に気

付き、慌てたように、妹に声を

かける。

「!マリ!このままここにいた

ら、さらにちっちゃくなっちゃう

わ!ひとまず帰るわよ!?」

「!やだやだやだぁ!これ以上

ちっちゃくなったら・・・りん

ごちゃん、忘れないでよね!?」

マリは、首を振り、自分の胸

を見て身震いした後、葵に指を

つきつける。

「次こそ、ちゃんとしなさいよ

ね!?」

姉のユリも、左右こそ反対だ

が、背中合わせで、妹と全く同

じポーズをとり、二人は静かに

姿を消した。

「はぁぁ」

葵は、体の脱力感もさること

ながら、精神的な疲れも吐き出

すかのように、大きく息を吐く。

「ごくろうだったな、おかげで、

やつらとの戦いも、なんとかなり

そうだ」

グレニアが葵の肩をたたき、

労をねぎらった。

「少しやすんでいろ、あとは我

々がなんとかする」

キースの言葉に、葵は、うな

ずくことしかできなかった。

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″ヒュッ!ピタッ″

レーラに振りおろされたマカ

ラトの爪が、突如その動きを止

める。

「?」

「ぐあぁ!なんだ!?この音は!?」

突然、苦しみだすマカラト。

「ぐくっ!そこか!」

マカラトが、あらぬ方向に爪

を伸ばすと、何もない空間に、

赤い筋が刻まれ、そこから、一

人の屈強な体をしたダークエル

フが姿を現した。

「おまえは"棘"《いばら》の!?

生きていたのか!」

マカラトが驚愕する。

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