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ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 1ページ

~プロローグ~

《 前 兆 》

20XX年 アメリカ

――始まりは小さな穴だった――

小指の先ほどの大きさしかな

いその穴は、とある田舎にある

山の奥深く、地面から数十㎝の

高さの空間に忽然と姿を現した。

突如として出現したその穴に、

近くを通った虫たちは吸い込ま

れ、気付かずに触れてしまった

獣たちが、骨の砕ける音と、肉

の潰れる不快な音を響かせて飲

み込まれていった。

その度に穴は、ゆっくりと、

しかし着実に大きさを増してい

き、一年後には人間が一人、す

っぽりと入れるぐらいにまでな

っていた。

~~~~~~~~~~~~~~

――日本では、桜の花が咲き始

める季節――

春休みを利用して山登りに訪

れた、日本の大学の登山サーク

ルにより、ついに穴は発見され

る事となった。

「なんだこれ?」

「どれどれ?」

興味本位で近づいた二人が、

木の枝を拾い上げて穴へと突き

入れてみる。

″シュバッ!″

なんと!突然、穴が反転した

ようにみえたかと思うと、二人

をいとも容易く飲み込んでしま

った!

″グワッン!グワッン!グワッ

ン!″

穴が奇怪な音を発しながら大

きく震えだす!

その音と動きはまるで、笑っ

ているかのようだ。

「ひ、ひぃっ!!」

「う、うわぁぁー!!」

およそ現実とは思えない出来

事に、パニック状態に陥った学

生たちは、我先にと山を駆けお

り始める。

麓までおりたところで、よう

やくパニック状態から立ち直っ

た彼らは、穴に呑まれた二人を

助けるため、レスキュー隊に電

話した。

連絡を受けたレスキュー隊は、

一時間ほどで到着した。

レスキュー隊が学生達に案内

され、穴のある場所にたどり着

いた時には、穴の音と震えは止

まっていたが、穴の中は、暗闇

をさらに黒く塗り潰したかのよ

うな不自然な程の漆黒に包まれ

ていて、何一つみえるものはな

い。

今まで類をみない不可思議な

事象に、レスキュー隊員たちも、

立ち尽くす事しかできなかった。

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