ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 101ページ

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まわりの騎士団長たちの戦い

ぶりは、さすがだった。

円陣を崩さずに、互いをフォ

ローし合い、不利な状況にもか

かわらず、敵の数を着実に減ら

していく・・・しかし、凱は、

敵の動きに違和感を感じていた。

(なにを待っている?)

あの血の気の多そうな鎌使い

が、ずっと後ろに控えたままな

のだ。

若干、イライラしているよう

にも見える。

あの男は、真っ先にこちらに

駆けだしていたはずだ、それな

のに・・・。

他にも数人が動かずに、じっ

と、こちらを伺っているように思

えたが、凱以外、誰も気付いて

いる様子はないようだ。

(・・・気の・・せいか?)

だが、凱の違和感が、ただの

杞憂ではなかったと、ほんの数

分後に最悪の形で証明されるこ

ととなった。

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アグリアの参謀、マカラトの

魔法により、場所を移したオル

ファとマカラトは、騎士団長た

ちから少し離れた所、青みがか

った透明な壁に隔てられた空間

ーーいや、隔てられたというよ

り、空間を差し込まれたといっ

た方が正確だろう、その証拠に、

床には謁見の間に敷かれている

赤い絨毯はなく、薄黒いむき出

しの石畳が顔を覗かせているーー

で激闘をくりひろげていた。

「聖光の鎖[シャイニーチェイン

]!」

オルファが剣の柄に巻き付い

ていた細い鎖を、宙に浮かんで

いるマカラトめがけ投げ放つ。

鎖は、マカラトの目の前で光

の粒子へと変わり、体を縛り付

けようと、とぐろを巻く。

「なに!?迷宮の壁[ラビリンス

ウォール]!」

しかし、動揺こそしたものの、

マカラトは素早く防御魔法を唱

え、自分のまわりの空間を歪ま

せた。

鎖は、歪みに飲まれたと思う

と、オルファの後ろから現れ、

体に巻き付くと鎧に弾かれて消

滅する。

(!・・やはり空間を操るので

すね)

彼らが崇める邪神ネロは、迷

宮を司ることから、位が高い信

者は、空間を操ることができる

と聞いたことがあった。

「くっくっくっ、まさかダリア

の下僕だったとはな!」

マカラトが含み笑いとともに

くぐもった声を発する。

「空間を歪めて、結界の働かな

い、ここに場所を移したのは、魔

法が普通に使えれば勝てると思

ったからでしょうが、その考え

が甘かったと後悔させてあげま

しょう」

剣を振り構えたオルファの顔

には、いつもの柔和さは微塵も

感じられない。

それはかつて、聖ダリア教団

の神殿騎士団長として、魔法帝

国や北の蛮族を滅ぼした時の、

無表情で冷酷ささえ感じさせる

顔だった。


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