ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 179ページ


レーラ姫と勇者たちは、ネイ、

ビスタという二人のエルフに連

れられ、世界樹へとやってきて

いた。

世界樹は、それが樹だと言わ

れなければ、わからないぐらい巨

大で、その全容どころか、うろ

の端さえ見えないぐらいの大き

さだった。

わかるのは、日の光をさえぎ

る巨大な何かがあるというぐら

いだろうか。

さらに驚いたことに中は、白

い幹、黄金の葉を持つ木々の森

がひろがっていた。

「・・・」

あまりのことに、全員、言葉

を忘れたかのように、ぽかんと

口を開けた状態で進んでいく。

30分は歩いただろうか、中心

部と思われるひらけた場所にで

ると、中央には一際巨大な樹が

一本、荘厳な姿でたっていた。

「あなたたちには、これからこ

こで、過去へと旅立ってもらい

ます、正確には、精神と肉体を

切り離し、自身の意識の奥にあ

る過去の傷、つまり、トラウマ

と向き合い、それを乗り越えて

もらうことになります」

ビスタが、ゆったりとした優し

い口調で説明する。

「心配するな、時間はたっぷり

ある、おまえたちが一年と感じ

ても、実際には1日も経っては

いないだろう、ただ、無理をす

ると、精神が壊れ、体に戻って

こられなくなるから気をつけろ、

やるかやらないかは、おまえた

ちの自由だ」

ビスタとは対称的に、淡々と

した口調で、ネイが補足した。

「私は、やるわ」

レーラ姫が進み出る。

「俺もやるぜ!」

「私だって!」

「私も・・・やります!」

レオと優が続き、神楽も珍し

く迷っていたが、三人に続いた。

全員の視線が凱に集まる。

「俺も・・・一応試してみよう」

こうして、全員が過去のトラ

ウマと闘うこととなったのだった。

~~~~~~~~~~~~~~

″ドゴォー!″

黒犬の獣人が壁をくずしなが

ら吹き飛ぶ。

「残念じゃったのぅ、わしに即

死の類いは効かぬわい」

そう言い放った、猿の獣人ヴァ

ーリンの体は、二回りほど大き

さを増していた。

-‐獣の神であるハトホルを崇

める教団のものたちが使う魔法

は、肉体を強化するものが多い

‐-

「さぁ、アヌビス、力ずくでも

吐いてもらおうかの、わしを攻

撃した理由を!ん?」

倒れているアヌビスに拳を振

り上げたヴァーリンだったが、

ふと、アヌビスの姿がブレたよ

うに見え、手を止める。

″シュバッ!″

「ぬくっ!」

とっさに後ろに跳んだヴァー

リンだったが、その魔法で強化

された体に一筋の赤い道が刻ま

れていた。

「この姿になるとは思いません

でした、私に奥の手を使わすと

は、獣人も、あなどれませんね」

先ほどまで黒犬の獣人だった

その姿は、盲目の剣士のものに

なっていた。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?