ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 13ページ

″ガコンッ!ガガガガガガン

ッ!″

しばらくすると、塔の扉が内

側から開き、中から二人の男が

でてきた。

男たちの鎧は、半ば砕かれ、

体中傷だらけで痛々しく見えた

が、その顔は、どこか誇らしげ

だった。

騎士の姿をした集団から一人

の男が進み出て、傷ついた二人

を迎える。

金色の長髪に女性っぽい顔立

ちは、西洋の美男子といった感

じだ。

この集団を束ねているのだろ

う、一人だけ青みを帯びた輝き

を放つ、白銀の鎧を身に着けて

いた。

よく見ると、青みを帯びた輝

きこそないものの、同じような

白銀の鎧を身に着けている者が

数人見受けられる。

おそらく階級か何かが違うの

だろう。

「ラース、グエン、ご苦労だっ

た。城に戻ったら新しい剣と盾、

鎧が与えられ、正式に聖騎士[パ

ラディン]として認められるだ

ろう」

「はっ!ありがとうございます

!」

「光栄です!」

二人がかしこまった様子で片

膝をつく。

「なぁ、さっきから、どこの国の

言葉か知らんが意味わかるぞ?」

「・・・俺もです」

レオと凱が不思議そうに顔を

見合わせる。

他の仲間たちも頷いているこ

とから、どうやら全員が言葉を

理解できているらしい。

ローブを着ている集団から、一

人だけ青を基調とした羽織と四

角い帽子をかぶった細身の老人

が、ラース、グエンと呼ばれた

二人の前に進みでていた。

真っ白な髭が胸の辺りまでの

びていて、太っていれば、サン

タクロースを連想させたであろ

う柔和な顔をした老人だ。

「ラース、グエン、両名に女神

ミリアの祝福を!聖なる癒光[セ

ントキュアライト]!」

老人が二人に手をかざすと、

二人を不思議な光が包み込み、

みるみるうちに傷がふさがって

いく。

(!魔法?モンスターに魔法だ

と?)

凱は、ゲームの中の世界にで

も入り込んでしまったのかと思

わずにはいられなかった。

「早速で悪いが儀式についての

報告を頼もうかの。ではラース」

老人がうながすと、青い短髪

の方の騎士が口を開く。

「はっ!ユロフ様よりお預かり

した女神の宝玉と、高司祭殿を

はじめ、十人もの尊い犠牲によ

り扉は開かれたのですが、とて

つもなく、まがまがしい気が流れ

こんできたかと思うと、扉が歪

み始めてしまい、結局・・・」

「現われなかったというわけじ

ゃな?・・・で、扉は?」

「はい、そのまま閉じてしまい

ました、申し訳ありません!」 

「そうか・・・してグエン、高

司祭たちの遺体は?」

今度はもう一人のグエンと呼

ばれた黒髪の騎士が答える。


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