ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 166ページ

~第六章~

《力を求めて》 

「やっとついたぁ~」

優は、いままでの疲れを吐き

出すようにして、その場に座り

こんだ。

目の前には、大中小の木々が

光を浴びて、緑色の葉を宝石の

ように輝かせている。

「まだ入り口についただけです」

そう言う神楽の顔にも疲労が

浮かんでおり、安堵の表情を隠

しきれていない。

「遠すぎだろ」

レオも、優につられるようにし

て、その場に寝転んだ。

無理もない、休憩こそとった

ものの、ここ一週間、ほとんど

寝ずに歩きづめだった。

馬を借りることもできたのだ

が、まともに乗れるのはレーラ

ぐらいで、山道や森を進むには

不向きだということもあって断

念したのだ。

「少し休憩しよう、森の中では

何があるかわからない」

凱が、レーラに言い聞かせるよ

うに視線を送る。

「・・・そう・・ね」

レーラは、肩で息をしながら

も、先を急ぎたい気持ちが強い

のだろう、どこか落ち着かない

様子だ。

彼らが、こんな無茶をしたの

は、レーラの強い要望があった

から・・・いや、切望と言って

いいだろう。

城に残してきた者たちの事を

思うと、じっとしていられない、

そんな気持ちが痛いほど伝わっ

てきたため、誰一人異論を唱え

る者はいなかった。

だが、それも限界というもの

がある。

目的地がみえてきた安堵が、

忘れていた疲労を呼び起こした

のだ。

結局、話し合いの結果、交代

で充分な睡眠をとってから森を

進むこととなった。


・・・その夜

「う~、眠い~、寒い~、暗い

~、お腹すいた~」

「ばか!凱たちが起きちまうだ

ろ!」

ブーブー文句を言う優に、レオ

がシーっと、自分の口に人差し指

を当ててたしなめる。

「だいじょぶだよぉ、こんなに

離れてるし、それに、レオさんの

声のが大きいじゃん」

「あっ・・・」

いたずらっぽく笑う優に対し、

レオは、照れくさそうに頭をかい

た。

すぐに寝てしまった優とレオ

が夜の見張りをすることになっ

たのだが、まだ寝たりなかった

優の口からでるのは不満ばかり

だ。

レオに甘えているのだろう。

そんな優の肩で静かに眠って

いた白い小鳥が、急に羽を激し

くばたつかせる。

「?キュウちゃん?ごめん、起

こしちゃった?・・・?」

優は、自分の愚痴で起こされ

たキュウが怒っているのかと思

ったのだが、どうやら違うよう

だ。

「優!」

レオが警告の声を上げる。

「うん!何か来る!」

その時には、優の耳にも、森

から何かが近づいてくる音と、

鳴き声らしきものが聞こえてき

ていた。

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