ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 173ページ

『やっぱりいたぞ!わちの思っ

た通りぞ!ふぅ~はぁ~むん!』

ラクーンは、ひとしきり興奮

すると、大仰なポーズで、懐か

ら何かをとりだした。

それは、小さな炭のように見

える。

「・・・ちょっとぉ~!まじめ

にやってよぉ~!・・・え?な

に?」

優が、ラクーンの頭をたたく素

振りをした時だった、突然、真

っ赤な炎が弧を描きながら現れ

た。

『彼は、我がライバル、火狐[フ

レアフォックス]ぞ!夜にしか

現れないシャイボーイじゃが、

炎をまとい、炎の化身と言って

も過言ではないぞ!さぁ!いま

のうちに、彼と契約するぞ!』

ラクーンが、持っていた炭の

ような物体を放りなげると、火

狐は、嬉しそうに飛びついた。

「え?え?じゃ、じゃあ!フォ

ルちゃんで!あつっ!」

優は、火狐がまとう炎に指先

を焼かれ、とっさに手を引くも、

どうやら契約は無事成功したよ

うだ。

その後、優の怒りが、ラクーン

に降り注いだのは言うまでもな

い。

『ひ、ひどいぞ、これでプラン

トビーストを倒せるのに・・・』

「さぁ!フォルちゃん!あの化

け物をやっつけちゃって!」

地面に伏するラクーンを軽く

無視して、優は、火狐に命じる。

「クゥーン!」

優の声に応えるかのように一

鳴きした火狐は、プラントビー

ストに向かって駆け出した。


レオは、自覚していた。

(このままではマズい)

そんなレオの姿は、狼形態で

はなく、いまでは熊のような姿

になっている。

元天馬騎士団副騎士団長であ

る,バラッドとの死闘の際に目覚

めた新しい力だ。

狼形態よりも,素早さは格段に

落ちるものの、ちょっとした傷

なら瞬時に治ってしまう超自然

治癒能力を持っている。

しかし、それとて限界がない

わけではない。

しかも、バラッド戦で覚醒し

た時のように、致命傷を一瞬で

治してしまうような奇跡は、二

度と起こらないだろうことも感

じていた。

だから、致命傷を負わないよ

うに慎重に戦ってはいるものの、

このままでは体力を削られる一

方で、確実にやられてしまうだ

ろう。

″ガゴォー!″

そんな時だった。

何やら、炎の塊らしきものが

プラントビーストに直撃する。

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