ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 197ページ
「シュリ!オルファを!向こう
で落ち合いましょう」
″ヒュンッ!″
クラテスは、抱えてるオルフ
ァを、シュリに向かい投げあげ
た。
″ガシッ!″
シュリは、オルファをしっか
り受け止めると、無言でうなず
き、背負って、その場から離れよ
うとする。
「逃がすかっ!」
逃すまいと、剣を振るうヴィラス。
″ガキィンッ!″
「なにぃ!?」
しかし、その斬撃は、クラテ
スの大剣により、弾き返された。
その間に、オルファを背負っ
たシュリの姿は、みるみるうち
に小さくなっていき、すぐにそ
の姿を消す。
「・・・ふん!まあいい、しか
し、愚かだな、二人がかりなら、
まだ勝機があったかもしれんの
に、忘れたのか?この"目覚め"
[ウェイクアップ]状態の私にさ
え手も足もでなかったことを」
ヴィラスは、小馬鹿にしたよ
うな笑みを浮かべた。
「・・・」
クラテスは答えない。
「ふっ、今さら怖じ気づいたか?
だが、今度は逃さん!見せてや
ろう!竜人[ドラグナー]の!私
の!真の力を!」
ヴィラスの体に力がみなぎっ
ていくのを感じる。
服に隠れて見えないが足の辺
りの気が爆発的に膨れ上がって
いく。
「これが第2覚醒、"動流"[ムー
ヴァ]」
おそらく、腕に続き、足まで
も竜化させたのだろう。
「そしてこれが!第3覚醒!"戦
身"[バトラ]だ!」
ヴィラスの纏う気が、さらに
膨れ上がり、顔さえも鱗に包ま
れたその姿は、まさに竜人と名
乗るのにふさわしい姿であった。
瞳は縦長になり、口元には鋭
い牙をのぞかせている。
背には翼までも生えていて、
すでに竜そのものと言っても過
言ではない。
おそらく、服に隠れてる部分
も全部、鱗に覆われていると思
って間違いないだろう。
そんな変容を遂げたヴィラス
の口から、くぐもった声が漏れ
だした。
「キサマハ、モウオワリダ、シ
ネ!」
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″ドサドサッ!″
レムナテスたちの目の前に、
2つの死体が落ちてきた。
おそらく、魔法の力で運んで
きたのだろう。
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