ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 14ページ

「はい、ご指示通り、聖火[セイ

クリッドファイア]にて、火葬

いたしました」 

「うむ、結果は残念じゃったが、

二人ともよくやってくれたの。

疲れたであろうから、今日は、

もう休むがよい」

『はっ!』

二人がさがると、老人は、隣

にいる、騎士を束ねているであ

ろう金髪の男に声をかける。

「どう思う?、キース」

「そうですね、歪んだというこ

とは、別の場所に現れた可能性

もあるのでは?」

キースと呼ばれた男は、凱た

ちに視線を向ける。

「むぅ、確かに見慣れない格好

をしておるが、一人多いのでは

ないかのぅ?」

「それは何故かはわかりません

が、こうなった以上、可能性が

あるのなら試しても損はないか

と・・・」

「うむぅ、そうかもしれんのぅ」

二人は、凱たちの前へと移動

すると、キースと呼ばれていた

男の方が口を開く。

「私は聖ミリア教国、西方を守

護する一角獣騎士団[ユニコー

ンナイツ]騎士団長のキースだ。

おまえたちは何者だ?なぜ、こ

の塔にやってきた?」 

凱が代表してこれまでの経緯、

歪みから弾けだした光に飲み込

まれ意識を失った事、目覚めた

ら見たこともない森の近くに倒

れていた事、化け物たちとの遭

遇により、仲間の一人とはぐれ

た事や、塔に逃げてきた事を簡

単に説明した。

それを聴いた二人は顔を見合

わせると、今度はユロフと呼ば

れていた老人の方が口を開く。

「古[いにしえ]の言語に似てお

るな。しかも、こちらの言葉が

わかる事からみても間違いなさ

そうじゃ。これ、この者たちの

縄を解いてあげなさい」

「はっ!」

近くの騎士たちが凱たちの縄

を解き始める。

全員の縄が解かれると、老人

が再び口を開く。

「わしは、聖ミリア教、最高司

祭のユロフと申す。生命と慈愛

を司る女神ミリアに仕える者じゃ、

手荒な真似してすまんかったの

ぅ、よければ名を聞かせてはく

れぬか?」

「友崎 凱だ」

ユロフの前にいた凱が名乗る。

「トモサキガイ殿か、珍しい名前じゃのぅ」

ユロフが不思議そうに言う。

「違う、友崎が名字で凱が名前だ」

「ミョウジ?はて?それは通り

名のようなものじゃろうか?」

「通り名?」

(?もしかして名字という概念

がないのか?)

「おお!そうじゃった、そうじ

ゃった!すっかり忘れておった

ぞ!あれを彼らに」

凱の表情から、何かを思い出

したのか、ユロフが近くの、ロ

ーブを着た男に指示をだす。

すると凱たち一人一人に、複

雑な紋様が描かれた銀色の指輪

を鎖に通した形のネックレスが

手渡された。


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