ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 135ページ

~~~~~~~~~~~~~~

「なぁ、いいかげん退屈しすぎ

で疲れてこねぇか?」

レオが愚痴るのは、もう何回

目だろうか。

しかし、無理もない。

何事もなかったとはいえ、慣

れない岩山を歩き、一日半かけ

て、ようやくケルトメリに着い

たと思ったら、門前で街に入る

者の持ち物をチェックしており、

行列に並び待つこと数十分、同

行してくれたドワーフである、

ワジンのおかげで街には入れた

ものの、様々な許可を得るため

に訪れた領主の館で、再び待た

され、すでに一時間以上が経と

うとしていた。

門前の行列で待っている時は、

ワジンが、この街のことを話し

てくれたりしていたから、なん

とかなったのだが、さすがに、

レオだけじゃなく、他の者たち

も、早く宿をとって休みたい気

持ちでいっぱいで、苛立ちを隠

せずにいる。

それから数分後、ようやく現

れた領主は、鎧に身を包み、腰

には古ぼけた剣を下げていた。

茶色の髪は、かすかに波打っ

ており、肩の辺りまで伸びてい

る。

顔立ちは、彫りが深く凛とし

ており、鼻の下に整った口髭を

生やしていた。

「待たせてしまって申し訳ない、

色々と立て込んでおりましてな、

レーラ姫、ご無事でなによりで

す、すっかり、お綺麗になられ

て・・・アグリア王子の謀反は、

我が耳にも届き、心配しており

ましたぞ」

「お久しぶりです、ルーウィン

伯爵閣下、ご心配をおかけしま

した」

領主の挨拶に、レーラが応じ

る。

「聖ミリアとの御前試合以来だ

から、五年ぶりですかな?あの

時は、惜しくもグレニア将軍に

敗れてしまいましたが、今なら

ば負けない自信がございますよ?

して、将軍は、どうされていま

すかな?」

レーラは、静かに首を振った。

「・・・そうでしたか、あれほ

どの御仁が・・・残念な事だ・

・・もしや彼らが、例の勇者殿

たちですかな?」

ルーウィン伯爵が視線を勇者

たちに移す。

顔は笑っているが、その眼光

は鋭く、すべてを見極めようと

しているかのようだ。

レオは、グレニアの事を思い

出したのか、うつむいてしまっ

ているが、凱、神楽、優の三人

は、挨拶と共に、ルーウィン伯

爵と握手を交した。

「・・・戦ですか?」

凱は、先ほどから気になって

いたことを聞いてみる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?