ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 6ページ

涼は、グレーのパーカーにジ

ーンズと、普段通りの格好だが、

みている限りでは、紫音に気が

あるようにみえる。

(紫音さんが相手じゃ、優に勝

ち目はないなぁ)

葵がそんな事を考えていると、

優が再び口を開いた。

「凱さんまで揃ったんだから、

あんな空気になるのは、しょう

がないよ、今日もずっと本読ん

でるし・・・」

優は、この合コンに来てから、

ずっと読書している友崎 凱(23

才)を思い浮かべ、渋い顔をし

た。

白いシャツに黒のジャケット、

下はジーンズという服装は普通

なのだが、行動からは、彼が何

を考えているのか全くわからな

い。

「でも、ああみえて結構優しい

んだよ?」

葵が凱をかばう。

「私あの人苦手~、確かに顔は、

かっこいいけど・・・」

優が少し遠慮気味に言う。

葵が凱に好意を持っているの

を知っているからだ。

葵がバイト中に、ゴミが重く

て持てずに困っている時、助け

てくれたのだという。

それからというものの、葵は、

凱が気になって仕方ないらしい。

凱は、背も高く顔もいいから、

バイト仲間の中でも、女子から

の人気はダントツだった。

だが、無口と無愛想では、紫

音といい勝負の凱を、優は、ど

うしても好きになれなかった。

あの銀色に染めた髪にも威圧

感を感じ、怖いと感じる事さえ

ある。

「ちゃんと話した事ないからだ

よ」

葵は、優の心の内を知ってか

知らずか、さらに凱をかばうよ

うに言う。

「レオさんじゃ駄目なの?」

優は、葵に想いを寄せる楠木

レオ(25才)の名前をだした。

レオは体が大きく、太い眉と

顎に生やした無精ひげのせいか、

涼と同い年とは思えないぐらい

老けてみえる。

涼が童顔だという事もあるだ

ろうが・・・。

「やめてよ、今時赤いメッシュ

なんかいれてて、脳みそまで筋

肉で出来てそうな男なんて無理

無理」

葵が手を振りながら顔をしか

める。

レオの髪は、いつもボサボサ

で、そのくせ前髪には赤いメッ

シュをいれてたりする。

そして、服装はおしゃれとは

程遠く、今日もクリーム色のつ

なぎ服を着ている。

そんな事などから、女子から

の人気は皆無だが、優は、レオ

の裏表がなく、小さい事を気に

しない大雑把な性格に好感を持

っていたし、何より、涼や葵と

同じように、優を妹のように可

愛がってくれていた。

レオが葵に気があるのは、見

ていてすぐわかったので、自分

を妹のように可愛がってくれて

いる二人がくっつけばいいなと、

密かに思っていたのだが・・・

無理みたいだ。

(レオさん、ごめんね!)

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