ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 196ページ

ジルとネグートは、レムナテ

スが聖ダリア王国に捕まってい

る時に知り合った囚人仲間で、

いまは、客将扱いでレムナテス

の指揮下に入っていた。

「ん?・・・どうやら、敵さん

のおでましのようだねぇ~」

ジルは、遠くから近づいてく

る影をみつけ、嬉しそうに笑み

を浮かべた。

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″タタッ!スタッ!ヒュン!ヒ

ュン!″

竜国ドラグーンの火山地帯を

二人の女性が物凄いスピードで

駆けていた。

一人は、片手に一人の女性を

抱えている。

抱えられてる女性は、意識が

ないのか、ピクリとも動かない。

「急ぎましょう、仮死状態が長

く続くと危険です」

仮面で顔を隠した女性が、息

一つ乱さずに、もう一人の黒装

束に身を包む女性に話しかけた。

黒装束の女性は、無言でうな

づくと、さらにスピードを上げ

て先行する。

元聖ミリア教国の王城から脱出

したクラテスとシュリであった。

クラテスに抱えられているのは、

かの戦いで、重傷を負った状態で

神聖魔法を使った為に、仮死状態

になってしまった、オルファであ

る。

彼女を救う方法を聞きだすた

め、聖獣の森に隠れ住む、森の

賢者に会うのに少々時間をくっ

てしまった。

彼の話だと、生命力が溢れで

る場所に連れていけば、まだ望

みはあるらしい。

(あの場所なら・・・)

幸いにも、クラテスには、一

つだけ心当たりがあったのだ。

本来、レーラ姫の親衛隊であ

る四天のうち、三人もが姫から

離れることがあっていいはずは

ないが、四天が一人ついていれ

ば、レーラ姫に危険が及ぶこと

は、ほぼないと言っても過言で

はないだろう。

しかも、残りの一人であるレ

ミアは、その可能性をもっとも

0に近付けることができる人物

である。

彼女が姫の身を守ってくれる

はずだ。

そして、兄に父を殺され、傷

ついた心が、オルファを失うこ

とで壊れてしまわぬように、自

分たちは、姫の心を守るのだ。

もちろん、仲間であるオルフ

ァを助けたい想いも強い。

まだまだ目的地までは時間が

かかるだろう。

クラテスは、さらにスピード

を上げてシュリに並ぶ。

二人が火口近くに差し掛かろ

うという所で、殺気を感じた二

人は大きく跳びすさった。

″ズガガガッ!″

何者かの斬撃が、大地に爪痕

を刻む。

「我が黒竜爪[こくりゅうそう]を

かわしたのは、さすがと言いた

いところだが、どこへ行こうと

言うのだ?地獄は、そちらでは

ないぞ?」

「!・・・黒竜のヴィラス」

二人の前に現れたのは、目覚

め[ウェイクアップ]状態のヴィ

ラスであった。


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