ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 177ページ

「ふっ、威勢のいい奴じゃのぅ」

一際豪華な服を着たエルフが、

手を振ると、縛っていた縄がほ

どかれ、眠っていた凱たちも目

を覚ました。

「!長老様、お久しぶりでござ

います」

混乱する凱と神楽をよそに、

レーラがエルフに片膝をついて

頭を下げる。

想像通り、豪華な服を着たエ

ルフが長老らしい。

「ほぉ、あのおてんばが、ずい

ぶんと綺麗になったものじゃ、

人間の成長は早いのぅ」

エルフの長老は、いとおしげ

に目を細めた。

「長老様!」

「わかっておる、アグリアの謀

反も、それにネロの信者が絡ん

でいることも、魔王のこと、す

べて話は聞いている」

レーラの言葉をさえぎり、長

老は、話を続ける。

「少し前のことじゃ、ダークエ

ルフが同盟を求めてきた、罠か

と思い、問いただしてみると、

どうやらダークエルフの至宝、

魔王樹の種の一つが盗まれたら

しいのじゃ」

「魔王樹の種?」

兄のリベルの影響で、小さい

頃から書物を読み、博識になっ

たレーラであったが、聞いたこ

とのない名前であった。

「うむ、古くからダークエルフ

に伝わる至宝で、その実は、魔王

に力を与え、その種は、死の危

険と引き換えに、新たな魔王を生

み出すと言われている、そして、

それを盗んだのが、昔、ダーク

エルフの里に忌み子として生ま

れ、追放されたホワイトエルフ

だという話だ、ダークエルフの

長老が、崇める神タルタロスに

誓って話したことじゃ、真実に

間違いなかろう」 

「?話しがみえないんだが?そ

れにホワイトエルフって、あん

たたちと何か違うのか?」

凱が皆の気持ちを代弁する。

「わしらエルフの髪と瞳は、こ

の通り緑色じゃろう?ホワイト

エルフは、肌は白いが、髪も瞳

も黒いのじゃよ、ダークエルフ

の間では、1000年に一度生まれ

る災いを呼ぶ子として、忌み嫌

われており、大抵は、すぐに殺

されるそうじゃ、そして、その

ホワイトエルフこそが、アグリ

アをたぶらかしたネロの信者、マ

カラトという話なのじゃ」

「!そんな・・・それじゃぁ、

兄様は・・・」

レーラが崩れ落ちるのを優と

神楽が支える。

「ホーネスも、魔王樹の種を飲ま

されたってわけか!?」

レオが、体を貫かれた痛みと

屈辱を思い出したかのように顔

をしかめ、拳をかためた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?