ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 178ページ

「そういうことじゃろう、さて、

少し長話になってしまったが、

そなたらには、さっそく修行に

入ってもらう・・・そなたたち

は、なにゆえ弱いと思う?」

『!』

全員が、それなりに力をつけ、

強いとは言えないまでも、自信

がついてきていたのに、弱いと

言われ、一同にショック受け、

何も言葉がでてこない。

「それはの、心が弱いからじゃ、

意志の力がモノをいうこの世界

で、もっとも必要なのが心の強

さじゃ、そなたらには、世界樹

のうろにて己の弱さを乗り越え

てもらう、期限は1日、できな

かったものは・・・ここより去

ってもらう、ネイ、ビスタ」

「はっ!」

「はい」

長老に呼ばれ、二人のエルフ

が進みでる。

---ネイと呼ばれたエルフは、

エルフにしては、がっちりした

体型で、ショートにしている髪

と、エルフにしては珍しい、少

しつりあがった目が活発的なイ

メージを与えた---

---ビスタと呼ばれたエルフは、

ネイと呼ばれたエルフとは対称

的に、穏やかな顔立ちをしてお

り、長い髪を後ろで一つに編ん

でいる---

五人は、その二人に連れられ、世

界樹へと向かう。

「ふん!」

それを木の上で、面白くなさ

そうにみていた、一際小柄なエ

ルフがいたことに気づいていた

のは、長老だけであった。

~~~~~~~~~~~~~~

『くぬぅ!』

「むむぅ!」

優がいなくなり、エルフの里

で暇になったラクーンは、同じ

ぐらいの背丈しかないドワーフ

らしき男をみつけ、張り合って

いた。

---ドワーフらしき男は、ドワ

ーフより遥かに背が小さく、ヒ

ゲも短く、ちょびひげという言葉

がぴったしなくらいである---

「まだいたのか?」

ふと、ドワーフらしき男が話

しかけられ、振り向いたため、

おでこをつけていたラクーンは、

前のめりに地面に突っ伏くした。

「長老!何度も言うように、時

間がないのだ!我々が力を取り

戻せば、魔王や奴らなど!」

ドワーフらしき男が、若い青

年のような声で、話しかけてき

たエルフの長老にくってかかる

が、穏やかに言葉をさえぎられ

る。

「坊、いい加減になさい、おぬ

しの言動は、とてもドワーフ王

のものとは思えん、先代が亡く

なり、まだ日も浅い、少し頭を

冷やして出直してくるがよい」

エルフの長老の物言いは、穏や

かであったが、突っ伏くしたラ

クーンが固まってしまうほどの

圧力が感じられ、ドワーフ王と

呼ばれた男も、それ以上の反論

はできなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?