ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 176ページ
「私を・・・殺しに来たのか?」
女王は、殺気を膨れあがらせ
た。
「そのつもりでしたがね、さす
がに二人を相手に、このままで
は勝てるかはわからないので、
出直してきますよ」
男の言葉を合図とするかのよ
うに、何もない空間から剣が突
きでると、亀裂からシェザリー
が姿を見せる。
「陛下!」
「くっくっく、もうすぐです、
もうすぐ、あなた方に恐怖を思
い出させてあげますよ」
そう言い残すと、男の姿は、
徐々に薄れていき、消えてしま
った。
「ご無事ですか!?申し訳あり
ません!眠りの小妖精[レプラ
コーン]たちを追い払うのに手
間取りました!」
シェザリーが女王にかしずく。
「いいのよ、シェザリー・・・
ヒュプノス・・・もうなりふり
構っていられないようね」
「まさか!レミアに!?危険で
す!それは!・・・」
女王の言葉に、シェザリーがう
ろたえ、諌めるが、女王の覚悟
を宿した目に、何も言えなくな
ってしまった。
「恐怖を思い出すのは、どちら
かしらね?」
女王は、そっと口元だけに笑
みを浮かべたのだった。
~~~~~~~~~~~~~~
「・・・なぁ、俺たち、こうい
うの多くねぇか?」
手足を縛られ、大きな木の根
元に転がされているレオが、た
め息混じりにぼやく。
「うん、でも、みんな無事でよ
かったじゃない?」
優が、明るい声を無理に絞り
だすが、少し震えていた。
レオと優の隣には、テントで
眠っていたはずの、凱と神楽、
レーラ姫の三人も同じように縛
られ、寝息をたてている。
魔法で眠らされているようだ。
『わちは、全然無事じゃないぞ!
お前たちに出会った不運を呪わ
ずにいられないぞ!』
「ポンちゃん、うるさい」
『ポ・・・』
優につけられた名前を呼ばれ
たのが、うるさいと言われたこ
とよりもこたえたらしく、ラク
ーンは黙りこむ。
「ずいぶんと騒がしい客人じゃ
のぅ」
その時、喋り方は老人のよう
だが、見た目は若い美女が、こ
れまた美女の供を数人引き連れ
て、レオたちに近づいてきた。
---中央にいる人物だけ、十二
単衣に似た豪華な服を着ており、
頭にかんざしのようなものを数
本差している、共のものたちは
軽装で、露出部分の多い緑色の
服を着ていた---
「エルフっていうのは、客人を
縛りつける趣味があんのか?」
レオが挑発するように、にらみ
つける。
整った顔立ちに白い肌、細身
の体に尖った耳、レーラ姫から
聞いていた通りだった。
そう、彼女たちはエルフなの
だ。
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