ガイアストーリー 第一部 勇者たちの冒険 66ページ

なんでも、いまでは滅んでし

まった魔法帝国の生き残りの子

孫で、かなりの実力を持った魔

導師[メイジ]らしい。

「憎しみも時には必要ですが、

魔に飲み込まれない精神力がな

ければ、おすすめできませんよ

?」

「!」

まただ、また心の中を見透か

されたような不快感が、葵の中

にこみあげる。

この男、わざとそういう言動

をしてるとしか思えない。

そんなこんなで、葵の成長は

一番遅く、つい先日ようやく黒

魔術師[ブラックマジシャン]と

して認めてもらえた。

なぜ、自分は魔術師[マジシ

ャン]ではなく、黒魔術師[ブラ

ックマジシャン]なのか、何度

聞いても、ラシアルが答えてく

れないのも、葵をいらつかせて

いる原因の一つでもある。

「葵ちゃ~ん!」

ふと聞きおぼえのある声が自

分を呼んでいるのに気付く。

声のした方を振り返ると、優

が駈けてくるのが見えた。

凱とレオも一緒のようだ。

ロッドの事があってから、仲

間を避けるようになっていたが、

最近はイライラのせいか、仲間

に会うと、ほっとする。

怪我の功名というやつだ。

「あとは神楽さんだけだね!」

優は、久々に仲間で集まれて

嬉しそうだ。

「ああ、神楽ならユロフじいさ

んと先に、謁見の間に行ったよ、

なんでも、一秒も無駄にしたく

ないとか言って、俺たちが集ま

るぎりぎりまで勉強したいんだ

ってよ、真面目だよなぁ」

レオが頬をかきながら苦笑す

る。


謁見の間では、ラグレス王、

ユロフ最高司祭、グレニア将軍、

グエン、神楽の五人が待ってい

た。

そして、ラグレス王の口から

仕事についての説明がされる。

「そなたらには、この国の北西

にある、ドワーフの国ノーバに、

同盟の使者として赴いてもらい

たい、道中、危険は特にないとは

思うが、念のため、案内役もか

ねて、グエンを同行させよう」

「みんな、よろしくな!」

グエンが軽くあいさつし、一

人一人に大粒の宝石を1つずつ

手渡していく。

「これは?」

凱の問いに、ユロフが答える。

「それは、金貨[ゴールド]千枚に

相当する宝石[ジュエル]じゃ、

旅立つ前に、それで装備を整えた

り、アイテムを買っていきなさ

い、これも勉強じゃよ」


グエンに連れられて五人は、

城下町セントシティの一角にあ

る、武器防具店へとやってきた。

店の中は結構広く、冒険に必

要なアイテムやアクセサリーも

取り扱っているようだ。

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