春ゆきてレトロチカ感想(ネタバレなし)
検索しても公式からのネタバレ禁止のお達しのせいか、個人の感想を書いた記事が数個しか見当たらなかったので、枯れ木も山の賑わいということで
プレイしてみての感想を書いてみることにしました。(ネタバレなし)
良かった点
①ミステリーの犯人当ての楽しみ方が少しわかった気がする
得られた手がかりから、いかにもありそうなものからデタラメなものまで
とにかくどんどん仮説を立てていくという推理のシステムは、本格ミステリを読んでもトリックが皆目見当わからない私のような人間にも、そうやって読んでいけばいいのか…という発見をもたらしてくれました。
何かの小説で、探偵が「手がかりが多くなるほど推理は難しくなる」と言っていたのを、容疑者と仮説が乱立していく後半の推理パートで実感させられました。たくさん仮説を立てれば真実でありそうな範囲が絞り込めるというよりは、選択肢が増えて考えることが複雑になっていくとも言えるなと思いました。
推理発表中でも各種情報(現場の平面図や手がかり、組み立てた仮説など)を細かく振り返れるのはありがたかったです。
②全編ムービーなので没入感が高い
脳内推理パート以外はほぼムービーで構成されており、俳優さんたちの熱演もあり、二時間ドラマや映画を見ているかのような感覚で楽しめました。
このゲームには複数の事件が出てきますが、同じ俳優さんが事件ごとに全く違った役どころで登場するので色々な顔が見られて面白かったです。
現代の役や前の事件での役の印象に引きずられて、思考にバイアスがかかる場合もあるかも…?しかし、そういったミスリードに惑わされず推理しようというのがこのゲームの肝なのでしょう。
登場人物が声を荒げるシーンはありましたが、殺害シーンでもそれほどグロテスクな描写は強調されていなかったです。
(※私の感想です。感じ方には個人差があります。)
一見それほど本筋に関わらなさそうな些細なセリフにも
思考の手がかりが入っていることもあるので、
これから始める方は設定でムービー中の字幕をオンにしておくのを
オススメします。
推理を失敗したシーンも、無実の人を犯人にするなんてとみんなに詰め寄られたり、もう一回考えますね…(トホホ)みたいなノリでコケるパターンが用意されているので芸が細かかったです。恐らく選択肢があるところでは誤答で推理がコケたものも含め全パターン撮っている…?
探偵が華麗に推理を披露するシーンでコケたらこうなる、というのを体験できたのでよかったです。実際間違えると冷や汗ものですが…やっぱりあやふやなまま出たとこ勝負はダメですね。
③間違えてもリトライが比較的容易
うっかり推理発表シーンで間違った選択肢を選んでも、やり直しの時には完成済みの脳内推理パートを経て、間違えた箇所からすぐ再開できるので、
1から長いやりとりを繰り返さなくていいのはよかったです。
評価の減点にはなるものの、ヒント機能もあるので推理で完全に詰むことはほとんどないと言える親切設計になっています。
④UIが美しい
脳内推理パートの寄木細工のようなUIと、手がかりがはまったときのパチッという音が好きでした。
⑤ストーリーがよかった
これはネタバレになるので具体的なことは何も言えないのですが、ラストの展開や締めくくり方は私の好みに合っていて、よかったなあ…とじんわりした余韻が残りました。
気になった点
①全編ムービーなので、ちょっとでも集中力を欠くとシーンが進んでしまっている
映像の中にヒントがあるかもしれないのにも関わらず、
これはまあまあ起こったので、ながらプレイをしないとか、
ボーッとしてきたなと思ったらムービーを一時停止にするなど自力で対処するしかないのが現状だと思います。バックログ機能はあるのでセリフは振り返れるしムービーの巻き戻しも一応できますが、できれば次回作ではムービー中に時々何らかの操作を挟ませるようにしてほしいです。今思うと手がかりの取得がそれだった…?
(しかし手がかりの出てくる頻度がまちまちだし、最悪取得しなくても脳内推理パートでは全部そろっているのでいいか…と思いがち)
switchでプレイしていると、ムービー中に操作をしないためか、画面が暗くなってしまう時がありました。
ノベルゲーだと立ち絵と背景だけでは臨場感や迫力が足りないなとか、ここはムービーで見たいなと思うところが時々出て来たりするのですが、逆に全編ムービーだとずっと集中して見ていなければいけないので疲れるということがわかりました。一長一短ですね。
②仮説の再現CGのテンポが悪い
脳内推理パートでは、手がかりを疑問点に当てはめると仮説が出てきます。
仮説によってそれぞれ異なる寄木細工の模様が浮き上がるのはおおっと思うのですが、ニュースで出てくるような犯行現場の再現CGを挟んでくる場合があり、そのシーンの再生が終わらないと仮説の説明が送れない(一応スキップは可能)のが若干ストレスだなと思いました。あと仮説をスクロールするときの動きがちょっとモッサリしていて、手がかりを当てはめるには該当の仮説に繋がる疑問点をアクティブにしていないといけないのに、スティック操作だと行きすぎたり微妙に届いてなかったりするのが気になりました。ボタン操作で次の疑問点に送る/戻すでよかったのでは…?
③体験版の製品版へのデータ引き継ぎがない(2022/9/28現在)
私は体験版をプレイしてから製品版を買ったのですが、体験版からのデータ引継ぎ機能がなかったので、体験版に収録されている序章と一章を丸々やり直すことになってしまいました。ムービーも初見扱いなので早送りもスキップもできず、内容は全く同じ序盤のやり直しに一時間程度かかってからようやくスタートになるのがなかなか精神的にしんどかったです。
新規IPのアドベンチャーゲームで、体験版をやってから購入を検討する人も多いだろうし、今後のアップデートなどでデータ引継ぎ機能、もしくは体験版の部分のみ体験版プレイヤー向けに初見でもスキップ可能になる機能が実装されることを願います。
今後シリーズ化されるかもしれない雰囲気もあるので、次回作にも期待しています。
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