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俺の思ってたインタビューと違った

広報部に配属されて顔合わせの時に、部署の人から「インタビューとか取材の経験は?」と聞かれたので、

「修論はインタビュー調査で書きました(ドヤ」

と答えていたのですが、実際やってみると、会社でやるインタビューは僕が大学でやってたようなものとは色々異なってました。
インタビューといっても、目的や媒体でやり方が全然違うんですね。

院生の頃、インタビューといえば半構造化インタビューでした。
ある程度質問項目は定めておく(構造化しておく)けど、その場の回答に合わせて随時質問を追加するようなやつです。自分がやったのはもちろん、文献で見る手法も大体半構造化インタビューでした。
想定してない回答が出てきた時に、いかにそこから知見を引き出していけるかが腕の見せ所ではないでしょうか。

構造化インタビューは事前に質問項目が定まっているもの。
これは意味不明だと思ってました。メールで聞けばいいじゃん、と(直接訪問するから答えてもらえるというのはあると思いますが)。
実際、あまり手法として使われているのは見た記憶が無いです。

ところが、今のところ会社でやってるのは構造化インタビューなんですね。
なぜなら、インタビュー対象者が喋ってる映像を取るのが目的だから。

なんなら事前に回答を準備してもらうし、プロンプターに回答を表示してそれ見てしゃべってもらうし、噛んだりつまづいたりしたら撮り直す。

こういうやり方だと、なんていうかあんまりインタビュアーの力量は関係ない気がするんですよね。
むしろ大事になるのは、現地でどのような場所を背景とするか、変な映り込みが無いか、インタビュイーの目線が泳いでないかなどの確認とか、必要なものが撮れたか判断する力などです。ディレクションと言うものなんですか。

事前に考えた答えを話してもらうので、インタビューというよりは解説を撮ってるような気分になるんですが、映像的にきれいな喋り方をしてもらうので、回答の仕方とか言葉の間のようなものは捨象されます。

これもちょっとモヤモヤポイントです。
僕はその辺厳密にやる手法ではなかったものの、文字起こしを引用する時って「あの」とか「えっと」とかのフィラーや発言の間は残して、あんまり文を綺麗にしすぎないようにするじゃないですか。
これは成果物がテキストかビデオかという違いによるところでしょうか。

確かに映像として見返してみるとそういうのは「ノイズ」として受け取れるので無い方が見やすいんですが、そんなに「綺麗」な語りばかりでいいんだろうかという迷いもあります。

というように今まで思っていたインタビュー像とは異なるものが求められていて困惑していたし、なんなら「これは軽薄なことをしているんじゃないか」という気持ちもあったのですが、目的が違うんだからやり方が異なるのも当然かなという風に思えてきました。

要するに、今は何かを紹介する映像を作るために取材をしているのであり、その場での語りから何か新しい知見を得るためにインタビューしているわけではないんですね。密着取材するドキュメンタリーを作ってるわけでもない。

そうだからと言って何もリサーチ的なスキルがいらないのかというとそうではなく、何か知見を得るとしたら、事前準備の段階で打ち合わせやヒアリングをして詰めておくべきです。

つまり、むしろ今までやっていたようなインタビュー手法は、事前のヒアリングの段階で役に立つんだと思います。
担当部署に概要を伺って、必要に応じて深掘りし、得られた内容を元にどのようにPRしていくか、どんな映像にしていくかを検討していくというプロセス。
ここで浅いことしか聞いてないと、面白い情報を出せませんもんね。

そう思うと、実際の撮影段階で行うインタビューは仕上げのようなものでしょう。
であれば、なるべく伝えたいことが伝わるように喋ってもらう必要があるし、そういう映像を撮ることが大事なんだなと納得できます。

これからは現場での撮影がスムーズにいくようなディレクションの力をつけていきたいものです。

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