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新発売の中華AFレンズTTArtisan AF 27mm f/2.8とそこから見えてくる中華レンズメーカーの狙い

こんにちは、Gadget Yakuzaです。
今は長編記事を書き進めている途中だったのですが、面白いものをみつけたので帰ってすぐに記事にしようと思い立ち書いています。

Fujifilmユーザー待望の格安AFレンズ

最近国内でも流通するようになった中華レンズ。
性能としては純正レンズとまでは言わずともそこそこまともに写り、非常に安価に購入できるのが魅力です。

いわゆるサードパーティ製品なので、国産のSIGMAやtamronなどの有名なメーカーのレンズのように、手持ちのカメラに合うマウントのものを購入すれば、マウントアダプターを介さずとも使える点もいいですよね。

しかし、そんな中華レンズにも弱点がありました。
中でも「ほとんどの製品がMF(マニュアルフォーカス)」であること。
MFオンリーというのは初心者にとっては心許ないですし、たとえ中・上級者であったとしてもAF(オートフォーカス)が欲しい場面がありますよね。

そんな中、僕は大学から帰宅する電車のなかで、いつのまにかTTArtisan(銘匠光学)からAF対応のレンズが発売されていることに気がつきました。

焦点工房オンラインストアより引用(画像クリックで当該ページにアクセスできます)

それがこちらのTTArtisan AF 27mm F/2.8(Xマウント専用)です。
新品で26,820円…⁈ 
さすが中華レンズ…このご時世にAF付きで3万切るとは…

カメラやレンズの価格が高騰していく中、こういった手の出し易い金額かつ、AFが使用できるレンズというのはユーザー目線では非常にありがたい話です。

「いやでも写りがどうかも気になるよな…ハズレ引かないとも限らんし」と思って作例を見てみると「あれ…そんな悪くないな…てかむしろ全然いいな…」と。とはいえ私はXマウント機を現在所有していません。これを見た僕は真っ先に「Fujifilm X-T1」を所有する大学の友人にURLを送りつけました。

以下友人Uと僕の会話

僕「TTArtisanからAFのレンズでてるの知ってたか?」
U「知らんかった、出てたんや〜3万円か…アリやな」

というのもU氏は今まで、同じくTTArtisanの35mm f/1.4 cというMF専用のレンズを使っていたのです。僕とスナップをしに出かけた際に「AFないのしんどいよ〜」とたまにぼやいているのを知っていたので、「これこそ彼にぴったりではないか!」とおすすめしました。

TTArtisan 35mm f1.4 cは、MF専用であることを除けば1万円以下で購入できて写りも結構良い超コスパレンズなのですが、MFは慣れないとなかなか難しいですし、なによりハイブリッドAFや瞳AFを搭載するX-T1をMFレンズ専用機にするのは少し勿体無いと思っていました。(僕も一時期所有しており、MF運用していました)

そんな時に現れたこのレンズ、彼にとっては朗報であったことでしょう。

しかし、このレンズを見ているとふと気付くことがありました。

このレンズどっかで見たことあるわ

このレンズのスペック、"とあるレンズ"と酷似、というか"全く同じ"スペックをしているのです。(描写性能やコーティング云々ではなく、焦点距離やF値のはなし)

amazonより引用(画像クリックで当該ページへアクセスできます)

それがこの「Fujifilm XF27mm F/2.8 R WR」。
XF27mmはFujifilmユーザーの中でも「神レンズ」と評判だと耳にしたことがあります。しかし価格が4万後半と学生には少々手の出しにくい値段のレンズ。

発売から時間が経ち、50,000円代から45,000円前後に値下がりしたものの、中古相場では現在の新品価格とほぼ変わらない値段で流通しているんですよね。(XF27mm F/2.8の「R WR」が無い廉価モデルも存在するが、こちらは絞りリング非搭載)

TTArtisanはこのレンズに手の届かないFujifilmユーザーに同じスペックで安価なものを提供することが狙いなのかなと。

もちろん同スペックとはいえ、収差の補正やコーティングなど、本家には及ばない点もあるかもしれません。しかし作例を見る限りでは十分な性能をしているように見えます。

これが新品で本家の40%ほど安い値段で購入できるのは個人的にはなかなかアリなレンズだなと思いました。

中華レンズメーカーの狙いとその傾向

僕が見る限り、中華レンズメーカーは「価格が高騰する国内の純正レンズたちの隙間を埋める」という戦略を取ることが多いみたいです。

以前は純正レンズにも、他にくらべて安いのに性能がいいエントリー向けのレンズがいくつかあったのですが、現在の設計が比較的新しいと思われる純正エントリーレンズの多くはさほど安くないような気がします。中華レンズメーカーはそこに目をつけたのかなと分析しています。

して、TTArtisan AF27mm F/2.8の登場により、各メーカーごとに傾向の違いが見えてくるようになりました。

中華レンズメーカーがTTArtisan AF 27mm F/2.8のように、何かしらのレンズの外観やスペックをオマージュしたものを発売していることは以前から知っていましたし、「このレンズっぽい…?」というのもいくつかあったんですが、「メーカーごとにどのマウントが多い」とかまでは気にしたことはありませんでした。

「そんなことを考えてなんになるの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、中華レンズというのは似たようなスペックをしたレンズが多くあるため非常に探しにくいんですよね。

メーカーがターゲットにするユーザー層を知れば、自分の使用するカメラに合ったメーカーに絞りこむことができて探しやすいのではないかなと考えたわけです。

以下、自分的各中華レンズメーカーの傾向です。(あくまで主観ですが)
よければ参考にしてください。


TTArtisan(銘匠光学)

このメーカーは他のマウントのバリエーションもラインナップされてはいますが、先ほどのAF 27mm F2.8を見ても分かる通り、Fujifilmユーザー向けのレンズが多いように思います。

例えばマクロレンズ。

amazonより引用(画像クリックで当該ページへアクセスできます)
amazonより引用(画像クリックで当該ページへアクセスできます)

Fujifilm純正マクロレンズには、僕の知る限りこの二種しかラインナップされておらず、価格もXF60mm F/2.4 R Macroが新品で8万前後、中古でも4万円前後、さらに2022年に発売されたばかりのXF30mm F/2.8 R LM WR Macroが新品10万円前後で、新製品ですから中古の流通量も少なく、価格もそれほど下がっていないかと思われ、他メーカーに比べても高めの価格設定になっています。

参考までにSONYのマクロレンズを見てみましょう。

SONY公式サイトより引用(画像クリックで当該ページへアクセスできます)
SONY公式サイトより引用(画像クリックで当該ページへアクセスできます)

この二つの他に「Gレンズ」と言うシリーズのマクロレンズが一つあるんですがこちらはどちらかというと高級ラインなので割愛。
Gレンズ以外だと、SONYからはAPS-CフォーマットのE 30mm F3.5 Macro、フルサイズフォーマットからはFE 50mm F2.8 Macroの二機種がラインナップされています。30mmの方はソニーストアで新品27,500円、中古では1万円前後、50mmの方が同じくソニーストアで62,700円となっていますが、こちらは、中古だと大体25,000円ほどで購入できてしまいます。

このように、Fujifilmのレンズは高品質故に高価格なのかもしれませんが、安価に純正マクロレンズが楽しめないというのはちょっと残念ですよね。

前置きが長くなってしまいましたが、TTArtisanはここに40mmのマクロレンズをラインナップしてきます。

焦点工房オンラインストアより引用(画像クリックで当該ページにアクセスできます)

心なしかこちらのTTArtisan 40mm F/2.8 MACRO cもFUJIFILM 30mm F/2.8 R WRと外観を寄せている気がしますね。

Fujifilm機にはフルサイズのカメラは存在せず、APS-Cか中判サイズのカメラしかありません。Fujifilmユーザーの多くはAPS-CセンサーのX-Aシリーズや、X-T2桁、X-T1桁、X-S10などを使っているでしょう。

40mmのマクロレンズというのは個人的にあまり聞きなれない気がしますが、APS-Cで使った時にちょうど良い画角になることを想定していると考えればそれほど不思議ではない焦点距離ではないかなと思います。

40mm画角をFujifilmのAPS-C機を使用すると仮定した時のフルサイズ(35mm判)換算画角は60mm。

TAMRON SP AF 90mm F2.8 Macroシリーズ(通称タムキューと呼ぶらしい)でお馴染みのTAMRONからも60mmマクロは出てますし、SIGMAにも設計は少々古いものですが、Artレンズに安価な60mmマクロレンズがあったりします。

そう考えるといままでFujifilm純正レンズになかった「安価なマクロレンズ」というラインナップの隙間をうまく突いた戦略だなと感じますね。実際、X-A1を所有する友人は「マクロレンズが欲しいけれど純正は高いからTTArtisanの40mmを買おうかな」と検討していました。

これだけでは根拠に欠けますかね…笑
参考になれば幸いです。Fujifilmユーザーの方はぜひTTArtisanを中心に探してみてはいかがでしょうか。

では次


ZHONG Yi OPTICS(中一光学)

ZHONG Yi OPTICS(以下、中一光学)

このメーカーは僕のようなマイクロフォーサーズユーザー向けの戦略をとっているのかなと思います。

マイクロフォーサーズはセンサーサイズの性質上、ボケ量が得にくいという問題を抱えています。そのため、マイクロフォーサーズユーザーの多くが、フルサイズ並のボケ量を得るため、コシナの「Voigtlanderフォクトレンダー NOKTONノクトン」(変母音省略)シリーズを欲しくなるんですよね…

コシナ公式サイトより引用(画像クリックで当該ページにアクセスできます)

Voigtlanderフォクトレンダー NOKTONノクトンシリーズの特徴はF/0.95という超大口径。マイクロフォーサーズを使用すると仮定した時のフルサイズ換算のボケ量はF1.9相当(フルサイズのF1.8と同じくらいのボケ量)です。

しかし価格もそれなりで、画像の25mmの場合新品で13万から16万、中古では50,000円強とそこそこします。

中華レンズメーカーの参入があるまではマイクロフォーサーズユーザーは「ボケが欲しくばVoigtlanderフォクトレンダー一択」だったのですが、中華レンズの流入から、状況は変わりつつあります。

特にこの中一光学は、前述の「Voigtlanderフォクトレンダー NOKTONノクトン」シリーズと全く同じカタログスペックで安く、さらに本家より小型軽量なものを発売。

焦点工房オンラインストアより引用(画像クリックで当該ページにアクセスできます)

こちらは「中一光学 SPEEDMASTER 25mm F0.95」、25mmはマイクロフォーサーズで使った場合、フルサイズ換算で50mmとなり、本家Voigtlanderフォクトレンダー でも17.5mm/25mm/42.5mmなど、マイクロフォーサーズ向けのラインナップがあります。

このSPEEDMASTERシリーズは新品で5万円前後、中古であれば2万円強で購入できます。

F0.95ほどの大口径ともなれば、開放F値での収差を抑えるのは現代の技術を持ってしてもなかなか難しいと思うのですが、このSPEEDMASTERの作例を見た限りでは中華大口径レンズとは思えないほどによく収差が抑えられているように思います。

何度も言うように細かい点で本家には及ばないかもしれませんが、ソフトによる補正も視野に入れればある程度の欠点はカバーできるでしょうし、フレアやゴースト、周辺減光などはうまく使えば個性を出すためのスパイスにもなるでしょう。

中一光学は、超大口径が特徴のSPEEDMASTERの他にもマクロレンズに特化したFREEWARKERシリーズや、独特な描写を楽しむCREATORシリーズなどのラインナップがあり、名前からどのような用途かがわかりやすいのもいいですね。

僕もLumix G8を所有していて、以前まではVoigtlanderフォクトレンダー NOKTONノクトンシリーズを買おうと思っていたんですが、こちらを購入しようかと考えてます。
また手に入れたら詳細なレビューをしますね。


7Artisans(七工匠)

このメーカーはLEICAのコピーを意識したレンズが多い気がします。

焦点工房オンラインストアより引用(画像クリックで当該ページにアクセスできます)

このレンズなんかはわかりやすいですね。おそらく元ネタはこちら。

amazonより引用(画像クリックで当該ページへアクセスできます)

LEICA APO-SUMMICRON-M 35mm F/2 ASPH.ライカMマウントのレンズです。ほかにも

焦点工房オンラインストアより引用(画像クリックで当該ページにアクセスできます)

こちらの55mm F1.4 はおそらく

amazonより引用(画像クリックで当該ページへアクセスできます)

SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH.かな?
LEICAは詳しく無いんで詳細なモデルとかはわかりませんが、、

LEICA Mマウント向けのレンズが多いですが、LEICAボディユーザーをターゲットにしているのでしょうか?

7Artisansは他のメーカーよりも幅広いマウントを取り扱っている印象があるため迷ったらこのメーカーから探してみるのもいいかもしれませんね。


最後に

さて、どうでしたでしょうか。
中華レンズを探している方のお役に立てれば幸いです。
これからも、中華レンズの動向はチェックしていきたいなと思ってるので、また面白いレンズを見つけたらお知らせしますね!ではでは!

(2023/01/22:加筆・修正済)

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