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28. 健康情報の落とし穴

はじめに

臨床現場であれば、健康情報の取り扱い時は、守秘義務に基づき対応することが当然であり、基本的に医療職と本人(+家族)という中での取り扱いとなります。健康情報をその他の第3者と共有することは、プライバシー保護の倫理原則上認められません。難しい点は本人への通知・告知や、家族と共有するか、といったことが主な論点となるのではないでしょうか。一方で、産業保健現場における情報の取り扱いはとても複雑です。健康診断結果や、ストレスチェックなどの法的な制度もあり、多くの健康情報が発生しますし、情報の帰属や共有範囲、通知義務といった事項は情報によって異なるからです。産業保健職はそうした情報を管理する上で重要な役割を果たしますし、その取り扱い方は産業保健職の重要な能力と言えます。職場で利害関係者をどう巻き込むか、どのような着地点を目指すのか、どのように調整するのか、という中で情報が局面を大きく左右することもあります。そこで、本記事では産業保健職にとって、個人情報を取り扱う際に潜む落とし穴について説明していきます。

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