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0⃣教科書も問題集も教えてくれない"受験数学"

教科書だけでは通用しない受験数学

 よく巷でこんな言葉を耳にする。

「東大の数学でも教科書の内容が十分にわかっていれば解くことができる。」

 なるほど、確かに東大の過去問を見てみると教科書で扱わないような記号や演算子がでてくるわけではない。理論上は、教科書に載っている範囲でカバーすることが可能だ。
 しかし、東大受験生になってみれば事態はそんな簡単ではないことにすぐ気が付くだろう。実質的に"写像"の考え方を聞いてきたり、max(a.b) という最大値を与える記号を用いて議論した方が容易になったりする。その上に、各問題に対する思考力、予想+実験して検証する力、類推する力、計算力等が加わってくる。
 結局、(1年に1人いるかどうかレベルの天才を除いて) 教科書以上の知識をつけないことには厳しい受験という勝負の土俵にあがることはできない。

市販の問題集のさらに一歩先の数学力を

 市販の問題集でも教科書以上の知識を得ることが可能なのだが、東大京大など難関大学で求められる力はさらにその先にある。ここでは以下に難関大受験生にとって必要となるような知識をまとめておいた。ここに載っているものは青チャートなど所謂網羅系参考書のレベルの一歩先のレベルだと思ってほしい。これらついての※テキスト+講義動画を投稿している分野も多くある(※がついている)ので、学習意欲のあるものは是非受講してほしい。

①論理 (※論理攻略①)

 命題、条件、かつまたは、任意の~、ある~、必要条件と十分条件、同値変形など数学の根幹をなす重要なテーマである。これが分からないと問題の意味すら分からず0点になる可能性がある。次の値域と軌跡とも深く関係する。

②値域と軌跡(※論理攻略②)

 写像を題材としたテーマである。写像の概念を習わない高校生からすると、なぜそんな解法になるのか初見では不明であり非常に躓きやすい分野。順像法と逆像法という概念の理解が必要となる。

③max(a,b) min(a,b)(※2次関数)

 最大最小を考える上で、非常に簡潔に議論することが可能になる。また最大最小は、全称命題と不等式の議論などにも関わってくるため入試で頻出な分野である。

④ベクトル (※回転,正射影ベクトル,斜交座標系,外積)

 ベクトルそのものは基本的な内容だが、これをいかに使いこなすかが数学を習熟する上でかなり重要である。外積は完全に教科書外の知識だが、座標空間を考えるための強力な武器であり習得することをオススメする。

⑤1次近似と求積の理論

 微分や積分は"1次近似"という概念で支えられている。1次近似を理解することで、面積や体積を求める際に好きな切断面や分割で考えられるようになり、求積の問題での自由度が大幅にupする。難しい体積計算の問題を解く上で必須な考え方である。

⑥確率の基本

 確率は基本が1番難しい。同様に確からしいとは何か?確率とはそもそも何か?その理解こそがすべてである。残念なことにほとんどの受験生はなんとなくの雰囲気で確率の問題を解いてしまっていて、自分がなぜ間違えたのか、なぜ合っているのかを説明できない。

⑦シグマの原始関数とシグマ計算(※)

 一般にシグマの勉強は公式暗記から始まるため、全く応用の効かない知識になりがちだ。
 シグマ計算にも"原始関数"に相当する概念を導入する。未知のf(k)に対してその総和 Σ を求める方法を知ろう!

⑧多項式 (整式) 一致の定理

  f(x),g(x) が n次以下の多項式であるとき、異なる n+1 個の数値でf(x)=g(x)が成立するならば、 f(x) と g(x) は多項式として等しい(すべての実数 x について、f(x)=g(x) が成立する)。
 という基本的な定理のこと。 青チャートや Focus Gold などにも当然載っている。ただ、ほとんどの受験生はこの定理を知らない、もしくは必要なときに使えない。

⑨行列と行列式 determinant

 行列は旧課程数学Cの分野であるが、教育課程外になっても行列が有用であることは変わらない。有用な例をいくつか挙げておこう。
・連立方程式が解を持つかを行列式の議論に帰着可能
・3項間漸化式,連立漸化式,分数型漸化式はすべて行列の計算に帰着可能
・行列を使って直交座標→斜交座標への変換を考えることが可能
・変換後の斜交座標の面積は |行列式| 倍すれば求まる。
・媒介変数表示された曲線の曲がり方を行列式で議論可能
・2次形式 ax^2+2hxy+by^2 の標準化(2次曲線を簡単に表せる)

⑩媒介変数表示された曲線、ガウスグリーンの定理

 媒介変数表示された曲線の位置ベクトル、速度ベクトル、加速度ベクトルを考えて、曲がり方を行列式の正負で議論したり(⑨)、1次近似(⑤)の概念に慣れていれば曲線の面積をガウスグリーンの定理によって求めることが可能。ガウスグリーンの定理は⑪の積分計算とも相性が良い。

⑪積分計算のテクニック(数学3)

 比較的優先度は低いものの、複雑な積分計算が瞬時に求まると思考時間を増やすことができ、問題の見通し良くなるので実戦的にはかなり有用。
・瞬間部分積分
・sin と cos の n乗の積分計算
・King Property
特にsinとcosの n乗の積分計算は、求積のときあえて変数を三角関数とすることで劇的に計算を楽にすることができる。

 

 

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