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2023年6月の暦・行事(季節を味わう#0009)

「季節を味わう」では、毎月第1水曜日にその月の暦や主な行事をまとめます。(全てを網羅するものではありません)

2023年 6月(水無月)


6日(火)  芒種

 二十四節気の一つ。「芒」は稲や麦など穂先にある硬い毛のことで、「芒種」は「芒を持つ植物の種を蒔く時期」ということ。実際にはこの頃にはすでに蒔き終えています。このずれは、二十四節気が中国の黄河流域の気候を基準にしていることから起こると言われています。

10日(土) 時の記念日

 1920年(大正9年)に制定されました。
 671年に天智天皇が日本初の時計、漏刻(水時計)を用いて時を知らせたことに由来します。当日は旧暦の4月25日、新暦に換算すると6月10日です。
 ちなみに日本人は世界一時間に厳しいと言われていますが、それは明治以降のことだそうですよ。

11日(日) 入梅

 梅雨入りの漢語表現。
 天気予報のない時代には、梅雨はあらかじめ始まりと長さが決められていました。始まりは夏至の約10日前、期間は30日間です。

18日(日) 父の日

 6月第3日曜日。発祥は1910年(明治43年)のアメリカ。「母の日があるなら父の日もあるべきだ」という提唱が始まりだそうです。日本では1950年代ごろから知られるようになり、今では年中行事の一つとなっています。ただ、母の日に比べると少し影が薄い気がします。

19日(月) 桜桃忌

 『走れメロス』『人間失格』などで知られる小説家 太宰治の忌日。
愛人の山﨑富栄と玉川上水に入水したのは6月13日ですが、発見された日を命日としています。奇しくも、太宰治自身の誕生日でもあります。
太宰治の短編『桜桃』から「桜桃忌」と名付けられました。
『桜桃』の出だしの文章は

子供より親が大事、と思いたい。

 自分の家庭にはさまざまな問題があることを知りながら直視したくない主人公。家族を捨て置いて、一人酒場で飲みながら自己弁護をしている内容の短編です。
 家には妻と子供が3人。7歳、3歳、1歳で、真ん中の男の子がどうも成長が遅い。妻は表立って文句を言わないけれど、心の中は涙でいっぱい。現実を直視できず一人酒場で飲んでいたら、さくらんぼ(桜桃)が出されました。子どもたちは日頃質素な食事をしていて、もしかしたら さくらんぼ など見たことがないかもしれない、食べさせてやったらきっと喜ぶだろう、そう思いながらまた「子供より親が大事、と思いたい」と呟く男性。この男、心の底からのワルではないのです。「子供より親が大事」と言い切らずに、「子供より親が大事、と思いたい」と言っております。心の底では子どもが一番であることはわかっているのです。無頼に見えて実は小心者で、家庭の問題を直視できない あかんたれなこの主人公はきっと太宰治そのものなのでしょう。
「桜桃忌」というネーミングだけ見ると可愛らしいですが、実は結構情けない名前なのでした。

太宰治の『桜桃』は青空文庫で読むことができます。短編ですからあっという間です。もし良かったらお読みください。小説で描かれている男性は情けない人間ですが、時代を超えて「人間の弱さ」に共感できるのではないでしょうか。第一、太宰治は本当に文章が上手い。間違いなく天才です。

【青空文庫】


21日(水) 夏至

 北半球では、一年で最も昼が長く夜が短い日です。

30日(日) 夏越の祓

 年が明けて半年、一年の折り返し地点となる節目の日に、新年から知らず知らずに積み重ねてきた罪汚れを祓い清め、無病息災を願い行う神事です。各地の神社では、茅を束ねた「茅の輪」を潜って心身を清めたり、紙製の形代に罪穢れを移して清めてもらったりします。


(2023年6月7日)


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