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6月の花・植物の俳句(季節を味わう#0064)

「季節を味わう」では、毎月第4水曜日にその月の花・植物を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。

【百合】

ユリ科の多年草。
ユリの歴史は古く、長い年月世界中で親しまれてきました。
聖書にもたびたび登場します。
日本では、弥生時代にはすでに存在しており、球根が食用にもなっていたことがわかっています。
もちろん食用としてだけでなく観賞用としても愛されていて、万葉集にもユリを読んだ句があります。
夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ
坂上郎女(さかのうえの いらつめ)
夏の野の茂みにひっそり咲いている姫百合のように、人知れぬ恋は苦しいものですねといった意味でしょうか。万葉集は今から1300年ほど前に編纂されたものですが、心の動きは現代人と同じなのだなと感心してしまいます。

世界的にはユリは100以上の原種が確認されていますがその半数以上がアジア圏に分布しています。日本のユリの原種は15種類で、ヤマユリ、カノコユリ、スカシユリなど日本固有種のものもあります。江戸時代末期、ドイツ人医師・シーボルトが日本から持ち帰ったカノコユリやヤマユリの球根がヨーロッパで人気を集めたそうです。世界のユリの中でも、日本固有のユリは、花の大きさや花の咲き方などの点で際立って美しいと受け止められたようです。

いろいろの名もおもしろや百合の花   正岡子規

この句の「おもしろや」は、「風流」「趣深い」といった意味でしょう。
正岡子規が趣深いと感じた日本のユリの代表的な名前を挙げてみましょう。
テッポウユリ、ヤマユリ、ヒメユリ、スカシユリ、ササユリ、コオニユリ、カノコユリ、サクユリ、ヒメサユリ(オトメユリ)タモトユリ…
確かに色々な名前があります。
その中の一つ「ササユリ」は箕面市の市花。葉っぱが笹に似ていることからその名がつきました。昔は、箕面の山では普通に見られたそうですが、今は自然の中では滅多に見られないのは残念なことです。箕面の里山にササユリを復活させようと、2021年に「ササユリの会」が立ち上げられました。箕面の山にササユリが戻ってくる日が楽しみです。
(2024年 6月26日)


「季節を味わう」は大阪府箕面市のラジオ局 みのおエフエムの毎週水曜日午前11:30と午後8:40から放送しています。
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