見出し画像

なぜ試験でテンパってしまうのか?

なぜ、あんなにテンパってしまったのか・・・

あなたも身に覚えありませんか?
試験中に「頭が真っ白とはこういうことを言うよね」
とか思いませんでしたか?

いつの時代の受験生も、例外なく経験してきたあの緊張感。
手に汗握る苦しい戦いです。

これはもう、理由はひとつ。

必要なことを手や頭にたたきこんでいなかったから。それしかありません。


必要なことというのはいくつかあるのですが、
中でも今回の記事では「課題文そのもの」との向き合い方から考えていきます。

お気付きのように、ここ最近で課題文の文字数はかなり増えています。

平成26年の『温浴施設のある「道の駅」』と令和元年の『美術館の分館』を比較すると

平成26年『温浴施設のある「道の駅」』→およそ3,700文字
令和元年『美術館の分館』→およそ4,400文字

となっていて、その差はおよそ700文字にもなります。

驚きますね。
冗談じゃないよという怒りと嘆きの声が聞こえてきそうです。

上記の文字数には、令和元年の本試験課題文のような課題文の右側半分にある敷地状況や防火等の記載に関係する内容は省いていますので、
実質的な文字の増加量はもっと大きいということになります。

ただでさえ、そんなに多くの文字と向き合わなければならないわけですから、課題文を前にした時にテンパらないようにするためには、冷静な戦略が必要なわけです。

テンパらないために普段からやっておくこと

もうあんな思いはしたくないはず。

では、対策として普段どんなことをしておけばいいのか
考えていきましょう。

■課題文に見たことない表現が出るのは当たり前と心得よ

これはいわゆる「ビックリ玉」と言われるものですが、これまでも本番に課題文を前にして初めて目にするものが必ず仕込まれてきました。
令和元年10月の本試験では、「客土ってなに?!」と、心がざわついたのではないでしょうか。
ビックリ玉の特徴が分かっていれば冷静さを取り戻せます。

平成30年から11年までのビックリ玉をさかのぼってみると、その特徴が見えてきます。

H30 健康づくりのためのスポーツ施設 
廃校となった小学校・解体された屋外プールの跡地、隣地カルチャーセンター・全天候型スポーツ施設及びグラウンドと一体的に使用、地盤は屋外プール解体撤去し埋戻す、温水プール室、「コンセプトルーム」は室数・使い方を自由に提案、エントランスは東西南北可、延焼のおそれのある部分・防火設備・防火設備の表示

H29 小規模なリゾートホテル 
観光資源等を活用した「コンセプトルーム」の使い方の提案、敷地の条件を考慮した地下1階の構造及び建築物全体の基礎構造

H28 子ども・子育て支援センター(保育所、児童館・子育て支援施設)
 パッシブデザイン、井水利用、日射遮蔽効果のある樹木、天井等落下防止、基礎形式

H27 市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅(基礎免震構造を採用した建築物である。)
基礎免震構造、商店街との連続性、車寄せ、目標耐震性能、自然災害時の建築物の機能維持

H26 温浴施設のある「道の駅」 
非常用自家発電設備、24時間利用可能エリア、勾配屋根の架構計画(図も追記してよい)

H25 大学のセミナーハウス 
勾配屋根の構造計画、省エネルギーへの工夫

H24 地域図書館(段床形式の小ホールのある施設である。)
 メインエントランスとサブエントランス指定、書籍閲覧カフェ、吹き抜け部分冬季の空調計画

H23 介護老人保健施設(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施である。)
車寄せ、災害時にも一定の機能維持

H22 小都市に建つ美術館
アプローチは公園・遊歩道可、美術品に配慮した設備計画、設備機械室㎡/建築物の床面積㎡、照明計画

H21 貸事務所ビル(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸しスペースを計画する。)
 敷地形状(台形)、基準階有効率、地下1階機械式駐車場、ターンテーブル、カーリフト、照明計画

H20 ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設
ペデストリアンデッキ、1階・2階のエントランスホール、エスカレーター

H19 子育て支援施設のあるコミュニティセンター
広場への植樹(高さ・枝張り指定あり)、上足エリア明示

H18 市街地に建つ診療所等のある集合住宅(地下1階、地上5階建)
地下階居住者専用駐車場

H17 防災学習のできるコミュニティ施設
既存部、既存樹木、防火水槽、エキスパンションジョイント

H16 宿泊機能のある「ものつくり」体験施設
屋外自由通路

H15 保育所のある複合施設
屋内駐輪場

H14 屋内プールのあるコミュニティ施設
2階にプール室

H13 集合住宅と店舗からなる複合施設(3階建)
モール、駐車場6台(2段昇降式可)

H12 世代間の交流ができるコミュニティセンター
敷地傾斜(1.5m高低差)、各部門の利用時間帯

H11 高齢者施設を併設した集合住宅(高齢者施設についてはデイサービス(日帰り介護)及びショートステイ(短期入所生活介護)を行う施設である。)
車寄せ

どうでしょう?ざっと読みましたか?

一通りビックリ玉を見ると
「今年解いた課題に、この条件あったじゃん!」
なんていう感想がでてきそうです。

そんな風に思いませんでしたか?

そうです、資格学校や通信教育の課題は、過去問の条件を分析して出題されていますから、さかのぼって過去の試験問題をチェックしたら、当然見たことのある条件が多くあることに気が付きます。
ここまでは一般人の気付きです。

あなたは次の試験の合格者ですから、その特徴まで含めてしっかり理解し試験対策に役立てましょう。

■ビックリ玉の正体

試験当日「ビックリ玉」として目の前に現れるのは、

●建築の各専門分野でなければ普段あまり聞き慣れないこと
●普段仕事で扱っている規模の建物では触れる機会がないこと
●近々の法改正や国交省が広く周知したいこと

と言えます。
普段触れることがないことや、法令の新しい周知内容がでてくるんですから、テンパって当然。

これが「ビックリ玉」と言われるゆえんです。パンチが効いてます。

さらに、もう一つ以下に示すような特筆すべき特徴があることも忘れてはいけません。

●アプローチ・ゾーニングに大きく影響するもの
 (計画する建築物の骨格に影響大なので要注意)
●近年は設備・構造に関する内容も盛り込まれている
 (ただし、間違えたから合否に直結するかといえばそうでもない→ただし2023年1月時点では結構厳しくなってる傾向に)

受験生の集中力を削ぎ、骨格に影響する部分で失敗を誘導し、とどめに設備・構造の曖昧な知識のスキをついてくる。

なんと悪どい・・・というのは冗談ですが、上述したような形で真新しい条件が付されるので、それはもう当たり前のものとして「見たことがないものが出題されたときのかわし方」を考え備えておくほうが懸命でしょう。

間違っても、各専門分野の知識追いの深みにはまらないようにして下さい。

設備に関しては、ゾーニングへの影響を理解し、
作図上の表現をきちんと求められる形で描いていれば大丈夫です。
ゾーニングに影響するのは機器の位置や配管ルートなので、
室に使用する機器の特徴と併せて配管ルートをイメージできるようになってください。

構造・法規に関しては、過去問や標準解答例を通してこれまでに出題された内容を理解しておけば十分です。
新傾向の内容であれば、設計課題発表時に何らかの示唆が見られますので、
それからの対応でいいでしょう。


■今日のまとめ

●課題文に見たことない表現が出るのは当たり前という前提を持って臨む
●「ビックリ玉」の特徴を理解し冷静さを取り戻す
●設備は、ゾーニングへの影響を理解し、室に使用する機器の特徴と併せて配管ルートをイメージできるようになっておく
●構造・法規は、これまでの出題内容を理解しておけば十分で、新傾向の内容であれば設計課題発表後の対応でよい
●各専門分野の知識追いの深みにはまらない

今回の記事では、「課題文との向き合いかた」をキーに
試験でテンパらないための対策をお伝えしました。

心に留め置くようにしましょう。

サポートありがとうございます!いただいたサポートは、良記事を執筆するためのリサーチや受験生へのヒアリング、書籍等に使わせていただきます。応援よろしくお願いします。