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横浜ベイエリアの建築見学で考えたこと

さて、昨日神奈川県建築士会の施設見学会に行ってきました。
神奈川県建築士会では、「神奈川建築コンクール」を行っていて、2022年の受賞作品を見学しに行こうという企画です。

建築士会会員向け申込み用チラシより
表紙
裏表紙

こんな冊子も出てるんですが、第64回神奈川建築コンクールの

・最優秀賞「Port Plus 大林組横浜研究所」
・優秀賞「横浜市役所」
・アピール賞「横浜北中KNOT」

一般部門建築入賞作品

の3つの建物を見学してきました。

Port Plus大林組横浜研修所は、11階建ての大規模木造建築ということで、新建築にも取り上げられていて注目度も高い建築物ですね。

横浜市役所については、省エネの最先端フル装備という感じの建築物でして、2021年に開催した製図クリニックでも扱ったことがあります。採用されている省エネ手法は、まさに教科書で習ったお手本!という感じで、計画の要点で求められるようなものが目白押しです。

横浜市役所

そして横浜北仲KNOT。既存建築物の有効活用の事例としてエントリーされていて賞をとっています。

横浜北仲KNOT

みなとみらいエリアに残る「赤レンガ倉庫」については多くの方がイメージがつくと思いますが、日本が近代化を遂げるまさにその時代の輸出産業を支える建築物が、横浜には歴史的建造物として多く残っています。

この歴史的建造物を有効に使い保存できるように様々な工夫がなされた建築物でした。この3つの建築物について、昨日私が見てきたことや少し調べてみたことなどについて 整理していこうと思いますが、まずは3つ目の「横浜北仲KNOT」についてご紹介。

横浜が担った日本近代化への役割りを象徴する倉庫群を保存活用

横浜港は、1859年に日米修好通商条約が締結されたことにより、日本で最初に開港された港湾です。これにより、日本は国際社会に開かれ外国との交流が盛んになりました。

海外との貿易においては、横浜が日本の主要な窓口となり、輸出入品の集散地として発展して行くことになります。明治時代には、日本の産業革命の中心地として、横浜市に多くの工場や商業施設が建設され、産業都市として発展したという背景があります。

横浜市や横浜港は、明治維新後の近代日本の象徴として、外交・貿易・産業の発展において重要な役割を果たしていました。

横浜市には多くの歴史的建造物があり、その中には生糸の保管や検査、貿易などに関わる建物も存在します。

中でも、生糸の倉庫だったエリアを再開発して、 歴史的建造物を保存し活用したものが3つ目の「横浜北仲KNOT」です。

正面より

当時、倉庫棟に挟まれた荷捌きエリアがオープンスペースになっていて、 地下鉄の出入り口からみなとみらいの方へ動線がすーっと伸びています。 イベントスペースとしても使われていて、休日にはマルシェも行われているみたいです。歩いていくとこんな感じ。

屋外通路状になっているオープンスペースとB棟

当時の倉庫等の幅と同じ幅の17メートルになっているそうです。 右側に見える建物のレンガ調になっているところは、当時の材料からレンガの大きさや 最上部にみえる装飾なども、当時と同じスケール感で再現できるように 工夫がなされているとのことでした。 右側の床面にガラス部分がありますが、この下には当時の材料が展示されています。

地下部分にある展示
B棟の反対側

そしてその反対側には、当時のレンガを材料とし、当時と同じ階高で再現された壁面部分がありました。

富岡製糸場に行ったときの学びとリンク

実は私、この見学会の2週間ほど前に群馬県にある富岡製糸場を訪れていました。富岡製糸場は、開国後の日本が海外へむけて生糸の輸出量を伸ばし、外貨獲得と近代化に大きく寄与した実績のある近代産業の象徴的な建物であることを知りました。

富岡製糸場
富岡製糸場の繭の倉庫

富岡製糸場でたくさん作られた生糸は、ここ横浜のベイエリアから海外に向けてたくさん輸出されていたわけです。横浜に送られてきた大量の生糸は、 検査等諸々の手続きを経て海外に送り出されるわけですが、その際、たくさんのストックを保管しておく場所として倉庫群がこのエリアにあったわけです。
(上に写真を掲載してますが、富岡製糸場ではこんな感じで生糸をつくる原料となる繭が倉庫に収められてたみたいです)

ちなみに、富岡製糸場で生糸生産がオートメーション化されていた工場内の様子はこんな感じ。 

富岡製糸場 工場棟

横浜市にとっても、日本にとっても重要な財産であるこれらの倉庫群を歴史的建造物として保管できる形で、なおかつ、エリア価値の向上や土地を有効的に利用するといった役割が求められた開発だったのだと思います。

終わりに

ということで、今日は神奈川県建築士会の建築物見学会で実際に見てきた建築物とほんの2週間前に自分が見てきた 富岡製糸場での体験が結びついたかなり面白い視点での見学になったので紹介してみました。

昨日の横浜は天気もよくもかなり賑わっていました。風はめちゃ冷たかったけど(汗)
道行く人や馬車道を歩く人、ロープウェーを楽しむ人。思い思いに彩りあふれる街を楽しんでて春っていいですね!

市役所ギャラリーより

ぜひ休日に遊びに行きがてらエリアに点在する歴史的建造物も見に行ってみて下さい^^

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