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専門学校振り返り【3DCG】

先日、2年制の専門学校を卒業したので、時系列順に学校生活を振り返っていこうと思います。

入学までの経緯

自称進学校に通っていた私は、4年制大学受験以外の道を選択できず、私立理系の大学に入学しました。しかし、やりたいことと程遠い内容、自分の
ために使える時間の少なさが窮屈で、自分が腐っていく感覚で日々を
過ごしていました。
そんな中、受験期あたりから話題になり始めていた "VTuber" が、
ライブをできるようになってきたと聞いて、足を運んだのが "VTuberFesJapan2019" でした。

ライブステージの、バーチャルシンガー花譜の「魔女」にて
『今 己を証明する言葉に魂はあるか?』
の詞に衝撃を受け、突き動かされるように自分のしたいことを探しました。

結果見つけたのが、3DCGデザイナーでした。

大学中退後1年間働いて自分のPCを買ったり、職に就くための方法を
調べたりしました。独学とオンライン講座でポートフォリオを制作して
売り込もうか… なんて考えていましたが、親から「せめて専門卒の学歴を」
と専門学校への入学を薦められました。

体験入学したり、説明会を受けたりして、専門学校選びをしました。
2年制であることと、スタッフと話した感じ雰囲気が一番良かったので
私は東京デザイナー学院に入学を決めました。

この学校にはAOプレスクールという入学前授業が受講できます。
自分は3DCG専攻だったので、mayaの基礎講座を受講しました。
家では、学生ライセンスが未発行の時期だったので、blenderなどで
自主制作をしたりしてました。

実家リビングの家具を再現してみたり
オリキャラをモデリングしてみたり…

(AOプレスクールの際、講師の方にキャラクターモデリングに関して
デッサン的な部分を質問してしまい、怒られたのはいい思い出です 
「もっと考えないと。作りたいって気持ちだけじゃダメなんだよ」
の言葉は未だに教訓となっています)




1年生編



[1st] - 専門1年前期

1stの授業は、映像理論や撮影実習、デッサン、mayaの基礎、PremierProやPhotoshop、Illustrator等のAdobeソフトの授業がありました。映像を作る
うえで最低限必要なスキルはこの半年でほとんどが手に入りました。

また、授業のない時間では、使用されていない教室を借りて自主学習する
ことができます。"Mayaトレーニングブック 第4版"を自主学習で進め、
Mayaの理解度をあげていきました。

学校外の時間では、Mayaの操作を手になじませるために、Twitterで有志が
開催してる#深夜のモデリング60分一本勝負に挑戦したりもしました。
これのおかげでだいぶ操作が早くなった気がしてます。

このような学習習慣を繰り返して、専門1年前期でMayaの基礎を固めて、
後期でしっかり就活作品を作れるように準備ができました。

1年前期のイベントとして、1st展という作品展がありました。
入学して初めて作品を一般に公開する場として用意され、私の代のお題は「Next Standard」でした。眼鏡に装着してUIを投影するデバイスを
思いつき、CM風の映像を作りました。


前期での最終的な作品は、ローポリゴンキャラクターモデル「コッコロ」
です。モデリングからアニメーションまでの学習したスキルのアウトプット
ができたと思います。



[2nd] - 専門1年後期

後期からはより専門的な学習をするため、「モデラ―クラス」と
「アニメータークラス」のどちらかを選択します。
私はこのときジェネラリスト方向にスキル習得を進めていて、
モデリングは前期に比較的多く経験できていたので、
アニメータークラスを選択しました。

アニメーションクラスの授業の序盤は作品鑑賞、分析から始まり、
アニメーション制作における原則や考え方を講義してくれました。
一通り座学が終わると、mayaを使ったアニメーション制作実習に
移りました。

個人的に、実際にプロの環境でアニメーションを作ってきた方の知見を
踏まえた座学がとても参考になり、アニメーション制作において大きな
財産になった気がしています。
↓ 授業内で制作したアニメーション


また、後期から選択授業を受講できるようになりました。
私は、モデリングのスキルアップとして"Zbrush"
撮影処理やモーショングラフィックスの勉強で"AfterEffects"
ゲームエンジンの勉強で"UnrealEngine4"の授業を取りました。

それから、映像学科全体に制作管理という授業がありました。
個人、もしくはグループで映像作品を作ろうという内容でした。
私は3人のメンバーと共に、CLANNAD ~AFTER STORY~ OPアニメーションの
3D再現映像を3カット制作しました。

1カット目
2カット目
3カット目

私は渚のモデリングや全体のレイアウト、撮影処理などを担当しました。
リーダーを務めたのですが、制作進行が上手くできず、ディテールを詰める時間もなく、提出日ギリギリになってしまったのが反省点です。

そして、ついに就活が動き始めます。業界EXPOと呼ばれる、大規模な
企業説明会が行われました。表面的なことしかわからなかったり、
数が多くて調べきれないなんてことが多い企業研究ですが、このような
多くの企業が集まるイベントがあれば質問し放題じゃないか!と、
感動さえしました。大企業を除いて参加したほぼ全ての説明会で質問
をしましたね。大収穫の就活イベントとなりました。

授業以外だと、21年12月に開催された "SIGGRAPH ASIA 2021 TOKYO"
学生向けプロダクションミートアップに参加して、企業の方から講評を
頂いたり、就職に向けてのアドバイスを頂いたりしました。
自分から話しかけに行く「積極的なコミュニケーション力」が身に着いた
と思います。

#SIGGRAPHAsia2021

このように作品や経験を重ねてゆき、就活に向けてポートフォリオを
制作していきました。

↓ 専門1年終了時点のデモリールです




2年生編



[3rd] - 専門2年前期

専門2年前期は1年後期とほぼ同じで、「専攻授業+選択授業」です。
内容的には、1年後期で基礎をやったので、応用や実践が増えています。

選択授業はゲームエンジンのスキルアップのため "UnrealEngine4" を2種、制作進行の知識増強のため "SettingWorks" を受講しました。
どちらもこの学校に入ってよかったと思えるほど有意義な授業でした。
自分で企画を立てたいと考えるなら、企画書やコンテ、進行表等の知識は
必須なので特にSettingWorksは本当に良い受講経験になったと思います。
↓ UE4の授業で制作した作品


そして肝心の就活に関してですが、私はポートフォリオサイト「Pando」のスカウト機能にて志望企業からご連絡いただき、面談ののち内定獲得と
なりました。
正直、ポートフォリオサイトはあくまで、自分の作品を出先でスムーズに
相手に見せるためのものくらいに想像していたのですが、結果として自分の進路を決めたツールとなり、とても感謝しています。
↓ 連絡を頂いた際のポートフォリオ


また、3rd開始と同時に卒業制作の企画を立ち上げました。
立ち上げ当初は、知人のプログラマと私の二人で、ゲームをリリースしようという目標で企画を立てましたが、ゲーム業界に就職を決めたアニメーターがクラスにいたので勧誘し、計5人のメンバーで本制作が始まりました。


[4th] - 専門2年後期

後期になると、授業は就活に向けてのポートフォリオ制作や添削、
アドバイス的な内容がメインになります。

選択授業は、前期の授業の続きで "SettingWorksⅡ"
エフェクト制作で使えるかもと "Houdini"
卒制の演出の参考に"映像演出" を受講しました。
私は卒業制作に全身全霊で取り組もうと決めていたので、すべての授業で
自分の卒制に組み込めるかを考えながら受講していました。




卒業制作編



[卒業制作1] ヨンモク


「ヨンモク」はスマートフォン向けゲームアプリです。

重力付四目並べ(コネクトフォー)は先手有利として知られています。
そこに、スキルバトルの要素を加え、逆転や戦略の幅を広げようと
考え企画したのが、このゲームになります。

制作は、私ともう一人のメンバーでデザインを行い、
モデリング、リギングを私が行って、
アニメーターに渡してレイアウト、アニメーション制作をしてもらう
という感じで進めていきました。

デザイン ▶ モデル・リグ ▶ アニメーション

制作進行としては、半月に一回の制作会議で進捗や進行方針をプレゼンし、各々のキャパシティを確認しながら仕事を割り振ります。
コミュニケーションにDiscord、進行管理にGoogleスプレッドシート、
データ管理にGitHubを使用しました。

自分で言うのもなんですが、映像学科で実際にゲームを作る機会はなかなかないだろうなとは思っていて、後輩の1st展を見てテイストが似ていた人に
アセットを作ってみないかと声を掛けてみました。嬉しいことに、
2人が実際に参加してアセットを制作してくれました。

ウミ : モデリング協力 - 1年キャラモデラ―志望

フレイム : モーション協力 - 1年アニメーター志望

メンバーにも恵まれ、順調に納品されるアニメーションをレンダリングし、
AEで撮影処理を行って、プレミアで編集したのち、作品を提出しました。
卒業制作は「映像作品」という提出フォーマットがあったので、
紹介PVの形でまとめました。

この作品は、卒業制作発表会にて "優秀賞" を獲得しました!

↓ [本編] スマートフォンゲームアプリ「ヨンモク」紹介PV

https://youtu.be/NwjSOWAQqHM

また、実際に体験プレイできる形でunityroomに公開しています。

↓ 【unityroom】ヨンモク 体験プレイ

https://unityroom.com/games/yonmoku_puzzle


[卒業制作2] 博士との約束


実は、ゲーム企画をメインで進める一方、リガ―として別の映像企画にも
参加していました。それが、「博士との約束」です。

モデラ―の友人が、私がリグ制作をしたモデルで卒業制作を作ると聞いて、
「お願いだから参加させてくれ」と頼んで参加しました

ロボットリグ - mGearでリグを制作しました

といいつつも、相手にメリットがない状態でお願いしたわけでもなくて、

・過去にUE5で自作リグのアニメーションFBXでレンダリング経験あり
・UE5.1のリリースノートを全て読んでいて追加要素を確認していた
・GitHub等の、制作進行用のノウハウを共有可能

など、自分が入ることで力になれそうな部分が見えたので提案しました。

実際に担当したのは、リグ全般、制作進行、UE5協力です。
↓ 担当箇所のツイート

完成した作品は、卒業制作発表会にて "最優秀賞" を獲得しました!

↓ [本編] 3D Animated Short Film "Promise with Dr."


↓ 受賞記念品(ディレクターのツイート)


卒業制作まとめ

頑張った甲斐あって、参加した2作品とも受賞することが叶いました。
自分が作ったものが評価されるのはやはり嬉しかったです。
スキルの面でも、実践的に幅広く担当したことで、大きく成長できたのではないかなと思います。



卒業


無事、卒業することができました。
振り返ってみると、多くの学科スタッフの協力のおかげで
スキル習得に集中出来たし、就職も叶いました。
競い合う仲間とも、たくさん出会えました。

「夢を目指して真っすぐ」

少なくとも私目線では、これまでの人生で最も幸せな2年間でした。

改めて、この学校に巡り合えたことに感謝します。

ちゃっかり卒業生代表で挨拶したりしました
2年間本当にありがとうございました!!!



最後に、在学2年間で制作したものをまとめたデモリールになります。是非ご覧下さい!


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