画文の人、太田三郎(5) 日本画について
今回は、太田の日本画を集成した『沙夢楼画集』を取り上げる。太田は、洋画とともに、なぜ日本画を学んだのだろう。書き進めるうちに一つの答えが浮かび上がってきた。
わたしには、洋画は展覧会で見る絵というイメージがあるが、日本画のイメージはどういうものだろう。ある時期まで、日本の家庭には掛け物の1本や2本あるのが普通だった。掛け軸、襖絵、扁額、屏風など、日本美術は生活空間に密接に関連していた。太田は日本美術の実用性と装飾性を認めていた。そのことが絵葉書やスケッチ画での活躍につなが