お金2.0 新しい経済のルールと生き方

お金2.0 新しい経済のルールと生き方

佐藤航陽

第1章 お金の正体

現実は「お金」「感情」「テクノロジー」の3つのベクトルが描く三角形の中点であり、その延長線上が未来である。
これらが複雑に絡みあうことで世の中は構成されている。

(メモ)
Fintech1.0:既に存在している金融の概念の枠内で、その業務をテクノロジーによって効率化するもの
Fintech2.0:既存の金融の枠組みを無視して再構築するもの(ビットコイン)

上のベクトルのうち、お金について。
資本主義が広まるにつれてお金は単純に「価値を運ぶもの」から「価値を自己生成するもの」に変わった。
中央銀行のシステムは19世紀後半に発明されたもの
→お金のシステム自体も時代とともに変わっていくもの(ビットコイン)。

動的なネットワークについて。
筆者の実務体験などによって得た知見では、動的なネットワークの特徴は大きく分けて2つある。

・極端な偏り(貧富)
・不安定性と不確実性

そして今経済システムは「自身で作り上げる」ものに(暗号通貨のマイニングなど)。

経済システムについて。
上のように特徴を持つ動的なネットワークとして経済システムは機能する。
その中で持続的かつ自律している経済システムには以下の要素がある。

・インセンティブ
・リアルタイム
・不確実性
・ヒエラルキー
・コミュニケーション(双方向性)


上の5つに加えて下の性質も重要。

・寿命をあらかじめ考慮しておく(参加者の飽きが来たら別のサービスに移ってもらう準備をしておく)
・共同幻想(理念)


上の考えは組織マネジメント論やプラットフォーム論、コミュニティ戦略など様々な分野に応用できる。
例)SNS、シャオミ、ビットコイン

脳の仕組みについて。
筆者はふと脳の仕組みを調べていた時に、脳には以下の特徴があることを学んだ。

・報酬系
・飽きやすい
・快感は他人との比較によって高まる


→経済システムと親和性が高い。

自然の仕組みについて。
また筆者は自然の仕組みを調べると、「極端な偏り」「不安定性・不確実性」というネットワークの性質に加えて以下の性質があることが明らかに。

・自発的な秩序の形成(管理者の不在)
・エネルギーの循環構造
・情報による秩序の強化(DNAの蓄積)


→自然は経済の大先輩。自然の性質をうまく組み込むことが大事。

第2章 テクノロジーが変えるお金のカタチ

テクノロジーの発展は点ではなく線で捉える。
このような観点で昨今の発展を見ると、今起きているのはあらゆる仕組みの「分散化」
その例として、シェアリングエコノミー・トークンエコノミー・評価経済の3つを挙げる。

シェアリングエコノミーについて
例)Uber、Airbnb、メルカリ
今シェアリングエコノミーが一番発展しているのは、中国(リーブフロッグ現象によって)。

評価経済について
例)ライブ配信
こちらも中国で人気。ライブ配信で広告を打ち、月収1000万稼いでいる人も

トークンエコノミーについて
例)暗号通貨、ポイント
カナダのメッセンジャーアプリ「Kik」はメッセンジャー内のポイントを暗号通貨として使用。
ICOによって資金調達もしている。

今世の中で起きている流れで「分散化」に並んで進んでいるのが「自動化」
この2つが混ざり合った時に起こる「自律分散」というコンセプトが今後パラダイムシフトを起こす。
例)Numerai(AIとブロックチェーンによって運営される無人ファンド)、BingoBox(無人コンビニ)

このような流れの中で、経済は「作る」ものに変わった。


第3章 価値主義とは何か?

金融経済(↔︎実体経済)が拡大していく中で相対的にお金の価値が下がったことによって、信頼や時間などお金で買えないものの価値が相対的に上がっている。
上のような流れから、先進国で広がる非製造業(主にIT)では「人材」と「データ」が重要な価値に。
例)Facebook、WhatsApp

このようにお金では測れなかった価値(フォロワー数や時間など)が重要なものになる流れを「価値主義」と呼ぶ。
ここで、価値には3つの分類がある。

・有用性としての価値(≒お金)
・内面的な価値(個人的な価値。愛情や共感など)
・社会的な価値(社会全体の持続性を高めるような活動。NPOやボランティアなど)


下の2つは可視化されなかったため資本として考えられなかった。
しかしテクノロジーの発展によってこれらの価値が可視化されるように。
例)SNSで興味関心が可視化、ソーシャルキャピタル、タイムバンク

第4章 「お金」から解放される生き方

以上のような価値主義の中で活躍する人はどのような人か?

昔の世の中とは違い、今は「ないものがない」。
このような世界で育ったミレニアル世代は人生の目的がない。
だからこそ

・人生の意義や目的を人工的に作り出すことが大事
・そして人生の意義や目的こそが価値

今の日本は人口が減少し経済が縮小しているため、若い世代には「分が悪い」。
しかし上の世代がわからない「内面的な価値」が相対的に上昇し、ミレニアル世代はその価値についての理解があるため、そのような意味では大きなチャンスがある。

内面的な価値が上昇している以上、「何かに熱中している人」が応援・共感を得るため、結果として活躍できる。

このような価値主義の社会の中で、自分なりの枠組みを「作り上げる」ことが大事。
例)YouTuberのファン

第5章 加速する人類の進化

現在巨額の富を得ているGAFAが採算度外視でテクノロジーへの投資をしており、その光景は中世のルネッサンス期のようである。
この動きによってテクノロジーの発展はもっと加速する。

また、既存の枠組みを超えた動きも出てきている。
例)電子国家としてのエストニア

このようにテクノロジーによってお金と労働から人類は解放される。

上はSFチックであるが、つまりお金の価値が相対的に下がってきた今、お金は「ツール」としても用いることが重要。

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