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ソガ氏的「やれたかも委員会」の話

タイトルの「やれたかも委員会」という漫画、知っていますか?
noteにもなっていますね。こういうやつです。

今回は僕が体験した、限りなくこの漫画っぽい話。嘘みたいな本当の話。
タイトル的に凄くやばそうですが。
もうそろそろ時効だよね…ってことで、綴ることにしました。


【送別会の、その夜に】

忘れもしない、2018年3月11日(日)の出来事でした。
2018年1月末、中学受験がもう間も無く始まろうとするある日、僕は東北地方は宮城県への異動要請を受けました。諸々事情やミッションを伺いつつ「結構遠くになるから、ご家族とも話してよく考えてみて」と。

僕はすぐに返しました。

ソガ氏「一応実家には伝えますが、基本的に人事に文句や主張を述べたことは今までありません。この件についても特に異論はありません。」

この人事が開示された時、結構な方々から驚かれ、会いにくくなりそうだから…と毎週末誰かしらが送別会を開いてくれました。ありがたい話です。

その年の3月11日は日曜日。この日も送別会を催してくれました。僕が入社した時、初めて配属された教室のメンバーが集合してくれたのです。まさに同窓会。積もる話も、バカみたいな話も、あっという間に過ぎていく時間。「じゃあまたいつか集まろうな」と、夜もいい時間になって解散。沢山の餞別の品々もいただきました✨
次の日は東京で年度最後の責任者会議の日。最後の挨拶、どんな話をしようかな…。引き継ぎもあるし、本格的な準備もあるし、今回も慌ただしい異動だから残り3週間あまり、忙しくなりそうだなぁ…。

そんなことを思いながらいつものように電車に乗り込みました。この電車に乗るのも後少しかー…なんて幾らか感傷的になりながら。

記憶の糸をほどいていくと…この電車の、僕の席の隣に座っていたんです。
今回のお話のお相手が。

なんだか足が当たるなぁ…。まあでも、都心で電車が混み合って体が当たることなんて日常茶飯事。気になる・気にするなんてまずありません。でもこれが、今思えば何かの合図だったんだろうなぁ…(遠い目)。


【人違い?のはずなのに】

6つ目の駅でいつものように電車を降りて、いただいた餞別の品をまとめた紙袋を片手にぶら下げて家に向かって歩き始めます。
すると、後ろから足音が近寄ってきます。
タッタッタ…と駆け足の音に変わった次の瞬間です。

「おい!今帰り?」

と、突然僕の右腕に腕を組んでくる人が!驚きますよね。普通。はい、僕も人並みに一瞬「ビクっ!」としました。

「あ…すみません、人違いだ…ごめんなさい」

なーんだ。まあそうだよね。突然腕組まれると、やっぱりちょとドキドキするよねぇ…なんて思いつつ僕は無言でそのまま歩き続けました。

が、しかし。

この女性の方、腕を組んだまま、そのまま一緒に歩くんですよ。

ソガ氏(え・・・これは一体?)

そしてその組んだ腕をスルスル…と下に移動させていくのです。

ソガ氏(え・・・え?!)

そして。

いわゆる「恋人つなぎ」の状態になってしまったのです。

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ソガ氏(これは・・・一体・・・?)

表情はいたって平静を装っていますが、少しずつ心拍数が上がっていくのがわかります。明らかに変な状況ですからね。この右隣の女性の方は、僕と誰かを間違えただけ。普通ならば即座に組んだ腕を離して、そそくさとその場を離れますよね?

なのにこの人、なんで恋人つなぎに持ち込んでいるのよ?これ、はたから見たら只の週末デート帰りの恋人同士よ?

…ていうかこの人、手を繋いだまま何も言わずに一緒に歩き続けるってどういうことよ?何?何この状況。テレビ番組か何か?モニタリングとか?

謎の女性「今日は何してたんですか?今帰りですか?」

突然、彼女が口を開きました。口調は朗らか。少しお酒入っているのかな?僕はここで初めて彼女の方を見ました。見た目はですね、クリエイターのサキ吉さん。ちょうどこんな感じでした。サキ吉さんのInstagramより。

↓↓↓↓

うん。
普通に可愛いですよね。若干夜のお仕事の匂いもしますが。丁度このインスタの写真のような服装・髪型をしていました。

ソガ氏「ええ。元同僚と夕ご飯に。」
謎の女性「わあ、いいなぁ!楽しかった?その紙袋は何?」

いきなりタメ口に早変わりです。めっちゃ仲良くなるスピード早いのね…。

ソガ氏「えーとね、元部下からのプレゼントだよ。」

僕も雰囲気に合わせてフランクに喋るの、まあまあ柔軟で上手でした(笑)

謎の女性「えーいいなぁ!何もらったの?私にも見せて!」

これ、知らない人が見たら本当に普通の恋人同士のたわいもない会話。普通に互いにタメ口だし、恋人繋ぎしたまま歩いているし。いや、我ながら「いや、お前ももうちょっと怪訝な雰囲気出せや!」って自分にツッコミ入れたくなるくらいナチュラルな対応をしていました。ここまで出会ってわずか2分。


【十字路で、突然】

そこから150mくらい歩いて、いつもの十字路に差し掛かりました。
ここで彼女が初めて合わせてくれていた歩調を止めます。

謎の女性「ねえ、この十字路どっちに行くの?」
ソガ氏「俺はね、このまま真っ直ぐだよ」
謎の女性「えー…私は左なの…」

なるほど。なんだかわからないけど、テレビカメラもないみたいだし、モニタリングでもないみたいだし、よう分からんけど取り敢えずこの時間は終了か…。
そう思った次の瞬間、彼女は僕の肩辺りをグイッと押し込んで、僕をガードレールに腰掛けさせるのです。

「?」

一瞬何が起きたかと思いました。彼女は僕にギリギリまで体を密着させて、顔をめっちゃ近づけて言い放ちました。

謎の女性「まだ話したい!だからホテル行こ!ね?」

・・・え?なんて?
・・・・・ホテル?

一気に体温が上がったのを今でも鮮明に覚えています。

ソガ氏「いやいやいや!流石に変でしょ?おかしくない?」
謎の女性「なんで?一緒に行ってくれないの?何疑ってるの?!」
ソガ氏「えー!疑っているとかじゃなくてさ、変でしょって!」

ソガ氏も緊急事態に陥ると、ボキャブラリーが著しく乏しくなるもんです。さっきからずっと「変でしょ!」しか言っていません。でも、本当に言葉が出てこない。。。

ソガ氏「これさ、本当は怖いお兄さんとか影から出てくるんじゃないの?」

もはや意味不明なことを質問し出す始末😂
当時は東京城北地区に住んでいて、夜はまあまあアジアンな、雑多な雰囲気なのでした。普通に怖い。ちなみに下の写真は当時住んでいた近所の写真です。

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まあまあな雰囲気ですよね(笑)
あまりにも言っていることがぶっ飛んでいる彼女に僕は混乱しました。この時点で出会って5分程度ですからね。ところが彼女も引き下がりません。

謎の女性「そんなわけ無いでしょ?!ダメ?ねえいいでしょ?」

そう言いながらガードレールに腰掛けている僕の膝に座り腕を回してきます。これ、ただのバカップル痴話喧嘩のようにしか見えません。十字路の反対側にいた1〜2名の喫煙者が「なんだ?喧嘩か?」みたいにニヤニヤしながらこっちを見ています。

謎の女性「ねえ、良いでしょ?これでもまだ信じないの?」

僕の手を握りコートとセーターの間に誘導します。
…下着を外させようとしている!?マジでこの人やばい!ていうか一体何なんだ!じゃあもうホテル行きますか?いや、でも明日は年度最後の責任者会議!万が一行けなかった…とかなったらマジで笑えない。しかも理由が理由…😨
そんなこと考えている間も彼女は膝の上に座っているし、耳とか甘噛みしだすし😂


【泣き出す彼女に起こった出来事】

多分膝抱っこ状態で10分くらい押し問答を続けたと思います。
やっと観念したのか、やるせなさそうに彼女が口を開きます。

謎の女性「・・・わかった。じゃあ今日は諦める。」

ソガ氏「今日は?」

謎の女性「その代わり、次会ったときは一緒に飲んでよ。だめ?」

ソガ氏「・・・」

謎の女性「それでいいでしょ?ね?」

ソガ氏「いやー、それは難しいな、残念だけど。」

謎の女性「??何で?嫌なの?」

ソガ氏「そーじゃなくて。次いつ会えるか分からんよ」

謎の女性「??またここか、どこかで会えばいいじゃん」

ソガ氏「来月にはもう引っ越すから」

謎の女性「どこに?」

ソガ氏「えーとね。東北地方。仙台の・・・」

この「東北」という言葉を聞いた途端に、彼女は突然泣き出しました。それも号泣レベル。おいおい…ていうかもう24時を回ってますぜ?泣きたいのはこっち😭
道路の端っこの方に連れて行き、縁石に2人で腰掛けました。まだ(近くに怖い人いないかなぁ…)とかビビりながらも彼女を泣き止ませます。

で、ここから彼女の話を黙ってウンウン…とうなづきながら聞いてあげるのです。どうやら彼女は23歳で、結婚も意識していた大好きな彼氏がいたそうで。でもこの彼氏、お仕事の転勤で東北地方は青森への転居が決まったとのこと。大好きな彼氏だったけど、東京の生活を捨てて青森に行くのは勇気が出ない…。ためらっていたら彼氏から突然別れを切り出されたみたい。そもそも本当に青森だったのか?別れる口実にでもしたんじゃないの?怒りと悲しみが収まらず数日しても感情の波がどうにも収まらない。

・・・そこに何とも朗らかに電車に乗り込んだ僕を見たそうで、降りる駅も一緒だったし、酔いもあってつい勢いでくっついちゃった…ですって。その人からも「東北」という言葉出てきて、悲しさはぶり返し。みんな私を置いて、東北地方に行っちゃうんだ!と。

・・・いや、すげーね。
本当にこういうことあるのね。でもまあ、あなた僕で良かったね。変な男だったら今頃どうなっていたか?朝になって後悔するパターンよ?

一通り話してだいぶ落ち着いたみたい。

フラレ女子「ありがとう。楽になった。」

そう言ってまた体を寄せてきます。半ば強引にハグされるソガ氏😂
よしよし…と頭を撫でてから体を離します。

ソガ氏「もう大丈夫?1人で帰れる?家まで送ろうか?」
フラレ女子「ううん、大丈夫。ありがとう。じゃあね。」
ソガ氏「はい、ほんじゃーね👋気を付けて」

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終わってみれば、単なる真夜中のカウンセリング。非日常すぎる約45分間のエキサイティングな体験だったけど、結局僕、人の話を聞いちゃうのよねぇ…😅

人は誰しも、幾つになっても、その人なりの悩みや不安と闘う毎日。凄そうに見えるあの人も、幸せそうなあの人も、日々自問自答を繰り返しているのでしょう。
そんな不安を打ち明けてくれる、自己開示の瞬間に立ち会えると僕は心の奥底に小さな明かりが灯ったような気分になるのです。少しだけ、大切な距離が縮まったような気持ちになれるので。

…あの娘もこれを機に、また前を向いて歩けるようなると良いなぁ✨
そしてふと、我に帰ります。

ソガ氏(結局普通に可愛い、いい娘なだけやった…怖い人いなかった…)

いやー…
「やれたかも委員会」みたいな、漫画みたいな非日常。
それは日常の中で、ドラマよりもドラマチックに突然降ってくるんですね。

誰か判定してください(笑)

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