宮沢賢治と自分と ー君を超えていけるかー 第二章
『二上山』
二上山-車窓より
秋にすすき畑だったところに菫が咲いている。
穴虫峠を越え、奈良に入るとすぐ左手に二上山が見える。
「大坂(おほさか)を、我が越え来れば、二上に、黄葉(もみちば)流る、しぐれ降りつつ」
万葉集に、峠を越えて二上山が拝められるその神秘的な美しさと自然観を唄ったものがあった。
二上山はこの辺りで唯一、火山が冷えてできただけあって、山の形が綺麗な三角錐だ。
その美しい山を見ていると昔の歌人の情景を、自分も追体験している、というと野暮ったいが。何百年も前の