宮守 銀河

エッセイ、藝術論を中心に書いております。

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最近の記事

宮沢賢治と自分と ー君を超えていけるかー 第二章

『二上山』 二上山-車窓より 秋にすすき畑だったところに菫が咲いている。 穴虫峠を越え、奈良に入るとすぐ左手に二上山が見える。 「大坂(おほさか)を、我が越え来れば、二上に、黄葉(もみちば)流る、しぐれ降りつつ」 万葉集に、峠を越えて二上山が拝められるその神秘的な美しさと自然観を唄ったものがあった。 二上山はこの辺りで唯一、火山が冷えてできただけあって、山の形が綺麗な三角錐だ。 その美しい山を見ていると昔の歌人の情景を、自分も追体験している、というと野暮ったいが。何百年も前の

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    • 宮沢賢治と自分と ー君を超えていけるかー 第三章

      『化学と芸術』 物事の根幹は概念であろう。 自然科学は自然の摂理をただ言葉にしただけではない。 摂理を体系化したお陰で、理想状態を考える事ができるようになり、応用、想像し得る幅を拡げた。 それは人類の可能性を拡げたという事だ。 背理的な話をすると言葉、それ自身が想像し得る幅を拡げる。 文学、芸術的な言葉と、科学、化的言葉は相反するように捕らえられる事が多いが。実は化学とは想像上の理想化された物質や量を扱うアーティスティックな学問だ。 『概念と現象』 宮沢賢治を考えるうえで「

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      • 宮沢賢治と自分と ー君を超えて行けるかー 第一章

        『藝術の存在』 藝術なんてものは心のリズムの中からしか生み出されない。 音楽や踊りといった動的な藝術だと話が変わってくるが、その中で純粋な文藝は。 それが自分を癒す為。どこかやるせない苦難にぶつかったときに自分を納得させる為につくられたものか。自然や環境への感動。自然の畏怖や美しさ、或いは高潔な人と出会った喜びといった敏感な心の動きを綴った二つに分類されるだろう。 その二つに共通して、作品を生むにしろ、鑑賞するにしろ、自身の心が共鳴する事が最も尊い事だ。 そしてその共鳴が長

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      宮沢賢治と自分と ー君を超えていけるかー 第二章