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2024.5.7 ほそくながく、ぐるぐると

そんなに混まないだろうと踏んで開けたゴールデンウィーク後半、予想に反してたくさんの方にお越しいただいた。行楽日和のいいお天気のなかお運びいただき、ありがたい限りである。

木金はほとんどいつものみなさん、土日はほとんど初めましてのみなさん、という具合に、いらっしゃるお客さまの顔ぶれが前後で不思議とくっきり別れていたのが、なんだか面白かった。しかし、火水と旅に出たあと、休みなく次の日からいつものように木金土日と開け、さらにいつもよりも忙しなかったおかげでへろへろになり、己の体力の無さが情けない。年中無休で開けている個人店の先輩方は、本当にすごいなあ、と思う。気力も体力も兼ね備えていて、店すなわち人生のようで、少しうらやましくさえ思う。
私はといえば、週4日間の営業の翌日は、昼間抜け殻のようになりながらなんとか起きだして、昼ごはんを作って食べ、洗濯をし、本屋に本を見に行き、気になっていた映画などを観、そうじをし、晩ごはんを作って食べ、というように時間と手間をかけて生活をして、家事や趣味で穏やかな心を毎週取り戻しながらでないと、また店に立つことができない。いや、全くできない、不可能というわけではない気がする。雇われて働いていた頃は、少ない休みで、長い時間働いていたこともある。もし、毎日開けろ、もっと長く開けろ、と命じられたら、たぶんできると思う。でも、今の自分は店に立つことと同じくらい、生活をすることが好きだし大切なので、そのどちらかが疎かになると、どちらかの質が落ちてしまう、それをおそれている、という方が、近いかもしれない。
とはいえ定休日も頭のなかでは、次のブレンドはこういうのどうだろう、季節のストレートは何がいいだろう、次のパフェはこういう感じにしたい、あれは、これは、ああしたい、こうしたい、と渦巻いてはいて、焙煎はするし細々とした仕入れ、仕込み、事務作業などはあるわけで、店を開けても開けなくても、まあ同じことなのかもしれない、とも思う。でも、年中無休の店主の方々は、こういった脳内会議的なことや裏方業務も日々営業しながら何年も何十年も続けていらっしゃるわけで、やはりすごい。なかなかできることではないはずなのに、当たり前のようにやっている。そして本人たちはすごいと思っていない。それがすごい。

でも、いや、とはいえ、などと言いながら、なんだか同じところを行ったり来たりしてしまったが、パワフルな先輩方に憧れを抱きながらも、自分は自分にできることを、できるようにやるしかない。かたつむりのはやさで進みながら細く長く続けていければいいと、忙しなく駆け抜けたゴールデンウィークを終えたいま、改めて思う。

話は戻って、(どこに?)、昨日も例のごとく抜け殻になりながら本屋に繰り出し、本を手に入れた。読みたい読みたいと思いながら、まだ今ではない気がする、と少し先延ばしにしていた二冊で、森見登美彦さんの「シャーロックホームズの凱旋」と、くどうれいんさんの「コーヒーにミルクを入れるような愛」。やっと読める。表紙に触れているだけで心躍る。読みたい本があるというのは、しあわせなことだなあと思う。今日は好きなだけ本を読むことにする、でもやっぱり店のことをぐるぐる考えてしまうのだと思う。読み終わったら、店の本棚に仲間入りさせよう。

さて、迷路のような日記を最後まで読んでくださったあなたに、心からのお礼と、こっそりひとつお知らせを。
今週木曜から、正式に「珈琲あんみつ」を始めますよ。

それではまた、cafe gで会いましょう。

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