さよならbye-bye、バイプレイヤー

先日、東京にこにこちゃんの「さよならbye-bye、バイプレイヤー」を観てきた。

ラストダンス以来1年ぶり。変わらず無茶苦茶で素晴らしい。個人的にはラストダンスよりこちらの方が好きだったかもしれない。

脚本は相変わらず荒唐無稽、稚拙でナンセンス。だがそれがいい、それでいい。そもそも最近は脚本に完璧を求めすぎる節がある。そんなもんいらない。ご都合主義万歳だ、バカヤロー

だいたい芝居なんてファンタジーなんだからリアリティだの完璧さだのを求めるなら、ノンフィクションのドキュメンタリーでも見とけや。人の人生だって荒唐無稽で無駄だらけなんだから良いんだよ、それで。

しかし良い話だったと思う。バックステージコメディって言うんだって、こういうの。俺も当パンで初めて知ったわ。いわゆる劇団内部のゴタゴタを主軸にしてんの。主人公を演じたい脇役とそれに振り回される他のキャスト陣と演出家。でもそれぞれに作品や劇団に対する思いがあって、それがゴタゴタの中で曝け出される。

にこにこちゃんって文字で説明しようとすると本当にチープになるから参るんだけど、演出や役者の演技、照明や音響も相まって素晴らしい出来になってる。

まずコロナ対策は、あの狭い荻窪小劇場においてはベストだったと思う。どういう対策が良いのか演劇界では決まりとかなくて、だからクラスターが発生すると叩かれちまうけど、前例もないし、何が正解かも分からないんだからしょうがない。本番中に換気、観客がどこに座ったかの把握、最前列はフェイスシールド、体温測って、消毒して。十分だよ。安心して観れる。これでクラスター発生したら、それはもう神様の悪戯よ。

照明も良かった。前説とか、てっぺいとかしょうもないシーンで綺麗な照明が付くんだけど、しょうもないシーンゆえに感動する。芸術だよ。役者を輝かしてたね。やっぱ照明って大事なんだね。中西さん、あんたすげぇよ。

役者陣もオールスター

主役の大須みづほ。マジかよ。最初は控えめな女の子だったのにどんどん欲に溺れておかしくなってく。ラストの感情爆発させる辺りは本当に凄い演技だった。萩田のふざけたセリフ回しも相まってめちゃくちゃ、カッコいい。生々しい人間味と圧倒的な演技力が共存した見事な女優だった。

Q本かよ。最高かよ。にこにこちゃんにしては珍しく表情を沢山見せた役者だった。恋して、悪女して、エロくなったり、最後は良い女になったり。忙しいの。実力は言うまでもなく本物。演技力を褒めるのは逆に失礼なくらい。彼女がいなかったら、他の役者は誰一人輝いてないだろうね。マジで。

うんこ太郎。ふざけてんのかよ。なんだこの名前って思ってたら凄かった。いるよ、こういう演出家。もう分からん。現実なのか虚構なのか分からなくなる。客席と舞台の境目を見事なグラデーションにしたのは彼の演技があったから。そこにボーダーは無かった。うんこ太郎がいた。

星秀美。革命かよ。どのタイミングで稽古に参加したのか知らんけど、もうハマってたよ。星秀美用の役だよ。劇中劇の主役で、作品の中では脇役だけど、最後は盤をひっくり返すキーパーソンってかなりムズイ役なのに、ハマってんのよ。スゴない?ひっくり返したねー、にこにこちゃんの全てを。アンタ、役者だよ。

直木ひでくに。もう黙れよ。なんでそんなマット仕様の目ができんのよ。おもしろいよ。吐くほど笑ったよ。もうホント、それだけ。未だに思い出し笑いするよ。

ホリー・ポッター。最強かよ。これがゴキコンか。尋常じゃないよ。舞台上で無双してたね。呂布かと思った。合うもんだね、萩田脚本と。全力を出すとにこにこちゃんが壊れるって、野生の勘で分かってるんだろうね、ちゃんと加減してた。にこにこちゃんに放たれた化け物。類を見ない最強。

新山志保。感動かよ。暴言で笑い取りたきゃ新山に言わせときゃ間違いないんだけど、ラストじゃその暴言の伏線もあって、メチャクチャ感動するのよ。友達への思いを、裸の感情でぶつけるんだけど、マジで良い。なんだろう。声とかだよな。みんな好きだろ、この手の女優。

江原パジャマ。普通かよ。って思ってたのよ最初。巻き込まれ系主人公みたいな役江原にやらせて何が面白いのよって思ってた。違ったね。マジキモい。ちゃんとぶっ飛んだ役だったし、ちゃんと面白かった。どの役と絡ませても、どのポジションやらせても面白いもんね。凄いよ。

てっぺい右利き。分かったよ。もうやめてくれ。笑ってるから。お前いるだけで笑ってるから。もう勘弁してよ。ボイコットとか、浄化とか。もう無理よ。腹筋取れるかと思ったわ。人を笑わせる為だけに生まれてきたんだろ?お前がナンバーワンよ。

尾形悟。劇団員かよ。久々に重要な役やってたね。良かったよ。ちゃんと邪魔だったしね。楽しそうだったな?楽しんだんだな、お前。萩田、これくらいの使い方もっとしてやれよ。ちょうど良かったよ。にこにこちゃんの体現者だったね。牛歩もやっと報われたね?前説も、好き嫌い分かれるかもだけどマジで良かったよ?次元とブライトとバラライカだろ?気づいたよ。

にこにこちゃんは文字や言葉で語る物じゃないから、とにかく観ないと分からないものだから、俺がどんなnote書いても意味ないんだけど。色んな人に観て欲しいのよ。早く売れて、日本中ににこにこちゃんを届けて欲しいのよね。元気の源を。

サイコーでサイテーのハッピーエンドは「みんな主人公」ってありきたりだけど、凄く大事なテーマ終わってて。にこにこちゃんだからこそ、それを言えるわけで。素直じゃない萩田の言葉で、素直なテーマを取り扱うとこんなにもスッと入ってくるんだなって、心に。

役者、スタッフ誰も彼も欠けちゃ作れねぇのが東京にこにこちゃんで、見事な作品でした。文句なし、最高!

711、頑張れ!はよ売れろ!

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