夏といったら。2020年4月16日(木)

今日の日記はちょっと特別編。

オモコロ( https://omocoro.jp/ )というウェブメディアのサロン「ほかほかおにぎりクラブ( https://omocoro.jp/ )」の中でオモコロの読者がリレー日記をしている。わたしはそれをこっそり読んでいたのだが、日が経つにつれ書きたいという気持ちが大きくなり、機会を伺っていた。そして今回、テーマが「夏といったら?」となり、「これは書ける話があるぞ」と思ったので、参加してみる。

Q.夏といえば?
A.部活ばっかの夏休み、と、コンクール。

わたしは中学一年生から今(高校三年生)まで、吹奏楽部に入っている。担当楽器はチューバ。金管で、大きくて、低い音の鳴る楽器。基本的に曲の中ではベースラインを担当している。もう吹奏楽部員六年目。長い。

毎年夏に、吹奏楽コンクールが行われる。今年はコロナの影響で、静岡県のコンクールが中止になり、他県の開催も怪しくなってきたので心配だ。(この日記にいろいろ書いてる → https://note.com/g_st_/n/n01cd4b2257c2 )

吹奏楽コンクールには、中学の部、高校の部、大学の部、職場・一般の部がある。参加人数(演奏者数)の規定は部によって異なり、中学は50名以内、高校と大学は55名以内、職場・一般は65名以内となっている。これはあくまで全国大会に参加できる人数であり、部活動の人数が少ない学校は、小編成(B部門、B編成、B組)の部門に出場することが多い。

わたしは関東の人間なので、西日本については疎い。ここでは関東の話をする。小編成は、30人以内となっていて、全国大会へは進めない。小編成部門の一番大きな大会は、東日本大会となっている。わたしの所属している吹奏楽部は、毎年小編成部門に参加している。中学も小編成部門に出場していたため、大編成のことは詳しくない。

長くなってしまったが、あとコンクールの賞についてだけ書かせて欲しい。コンクールは金賞、銀賞、銅賞の三つがあり、金賞を取った中から次の大会に進む学校・団体が選ばれる。代表に選ばれなかった金賞は「ダメ金」と呼ばれる。気をつけていただきたいのは、銅賞が三位というわけではないということ。銅賞はコンクールに参加し、失格さえしなければ貰える。

詳しくはWikipediaを見ていただければ、どんなものか分かると思う。ただし長い。( https://ja.m.wikipedia.org/wiki/全日本吹奏楽コンクール )

さて、ここまで長々とコンクールについての説明をしたが、やっと夏の話をする。

わたしの中学高校での夏休みは、吹奏楽をしている思い出しかない。夏といえばコンクール。それはもう当たり前になっている。中学一年生から今までの、夏とコンクールを振り返る。

中学一年生、初めてのコンクールのことはあまり覚えてないけど、銅賞で物凄く悔しかった。それなのに、先輩たちはヘラヘラしていて、嫌だった。部活中に漫画を読むだとか、自分は不真面目なくせに威張るだとか、そんな先輩たちだったから仕方ないけど。わたしは金賞を取りたいと思った夏だった。

中学二年生のコンクール。ひとつ上の代が二人しかおらず、わたしたちの代に不真面目な人が数人いたので、先輩二人がメンタルを病んで部活を辞めかけたことがあった。結局先輩は戻ってきて、コンクールでは難しい曲に挑戦することになった。わたしたちにとって、ありえないくらいの難曲だったため、みんな必死に練習をした。暑い音楽室で、十回通しをしたり、楽譜を見ないで演奏したりした。練習と曲のおかげで、地区大会では金賞を取ることができた。県大会では銅賞だったものの、良い経験だった。演奏の主な戦力はわたしたちの代だと思っているので、先輩二人だけがこの結果を貰ったような感じがしたのは未だに解せない。良い先輩ではあったけど。地区大会も県大会も、顧問が曲の最初の指揮を失敗したのは許せない。

中学三年生のコンクール。この年に顧問が変わり、指揮も教えるのも上手い先生になった。曲は前年よりもやりやすいものになったが、また金賞を取りたかったし、わたしたちの代は最後なので、一生懸命練習をしたが、結果は銀賞。悔しかった記憶がある。正直な話、あまり覚えていない。

高校一年生。高校から、県大会スタートになり、次の大会へ進むことがますます難しくなった。コーチの意向で、部員が48名にならなければ大編成部門には出場せず、二年と三年で小編成部門に出場することになっているため、この年は楽器運びをした。舞台袖で聴いていた先輩たちの演奏が、本当にかっこよかった。憧れだった。県大会で無事金賞を取り、支部大会に進むことができたが、ここから問題が発生する。部活に来ない先輩がいた。全く練習に来ず、支部大会だけ出た先輩。そんな人がいるにも関わらず、支部大会でも金賞を取ってしまった。ダメ金だったが、これで金賞を取れることの意味が分からなかった。絶対にもっと練習した学校はあるのに。わたしは、進路関係で忙しくなろうと、部活には来ようと思った。コンクールが嫌いになった夏だった。

高校二年生。曲は、去年と同じ。先輩とも良い関係だった。エアコンをつけているのに暑い部室で、全力で練習した。学年問わず意見が飛び交う合奏。外部の先生が泣いてしまうほどわたしたちを思ってくれたこと。絶対に金賞を取って、支部大会に進みたいという気持ち。ハードな先生の練習も、強豪校との合同練も、教わったことを吸収しようと頑張った。充実した夏だった。絶対にいけると、全員が思っていたコンクールだった。演奏はとても楽しかったし、幸せだった。今までの吹奏楽人生で一番。だから金賞を取れると思っていた。全員、自分たちの演奏を信じていた。だから信じたくなかった。銀賞を取ったこと。審査員の中に、わたしたちが演奏した曲を好かない人がいたため、低い点数をつけられてしまった。演奏は良かったのに。本当に悔しい。表彰式のあと、みんなで泣きながら励まし合っていた。全員が信じていたから、全員が責任を感じていた。苦しかった。来年こそ、そう思って頑張っていくしかなかった。生ぬるい、嫌な夏だった。

そして、今。高校三年生の春。休校だし、部活はできないし、コンクールはどうなるかわからないし、不安しかない。

わたしは、吹奏楽のない夏を想像できない。中学一年生からずっと、吹奏楽部で夏を過ごしてきた。

暑い暑い部室。飛び交う意見。制汗剤の匂い。応援しに来てくれるOGの先輩。みんなで食べるアイス。お守りをくれる後輩。部員全員で組んだ円陣。
コンクールの会場。他の学校の人。挨拶。リハーサル室。舞台袖。やけに上手く聞こえる前の学校の演奏。ステージ。暑くて眩しいライト。指揮台に登るコーチの震える手。指揮棒を下ろす瞬間。音の余韻。拍手。信じてた演奏。貰えなかったトロフィー。公園で泣いた。後悔した。
そんな高校二年生の夏。

わたしは、夏といえば?という問いに、吹奏楽部としか答えられない。それ以外の夏を知らない。お祭りにも、海にも行かない。暑い部室で課題をして、楽器を吹く、それだけの夏。それが好きだった。それが良かった。コンクールがないなら、夏なんてないのと同じ。

今年、どうなるか分からないし、連盟が無理してコンクールを開くのも嫌だけど、わたしはコンクールに出たい。

今年リベンジしないと、もう終わってしまうから。

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